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恥ずかしながら最近になって、阿部薫というジャズサックス奏者のことを知りました [音楽を聴いている]

以前、和ジャズのコンピレーション・アルバムを聴いたことを書きましたが(その時の記事はこちら→https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2020-11-06、その後、10月4日、日曜日の日経新聞朝刊「名作コンシェルジュ」で、阿部薫(1949~1978年)の『完全版 東北セッションズ 1971』についての紹介記事を読んで興味を持ち、思い切って入手してみました。

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阿部薫 / 完全版 東北セッションズ 1971 [3CD] [日本語帯・解説付] [国内プレス] [Live]

[CD1] 阿部薫+佐藤康和デュオ/ Live at 東北大学
1. アカシアの雨がやむとき 19'49
2. バス・クラリネット・ソロ・インプロヴィゼーション※ 2'24
3. チム・チム・チェリー〜暗い日曜日 27'53
4. 恋人よ我に帰れ 22'48
(録音) 1971年10月31日 東北大学教養学部教室にてライヴ録音
(演奏) 阿部薫 (Bass Clarinet-M1,2/ Alto Saxophone-M3,4/ Harmonica-M3) & 佐藤康和 (Percussion-M1,3, 4)

[CD2] 阿部薫ソロ/ Live at 秋田大学
1. アルト・サキソフォーン・ソロ・インプロヴィゼーション1 1'01
2. アルト・サキソフォーン・ソロ・インプロヴィゼーション2 10'56
3. 阿部薫MC ※ 0'07
4. アカシアの雨がやむ時 18'40
5. 風に吹かれて〜花嫁人形 18'39
6. 阿部薫MC ※ 0'25
7. アルト・サキソフォーン・ソロ・インプロヴィゼーション※ 0'19
8. アカシアの雨がやむ時 9'17
(録音) 1971年12月4日 秋田大学学園祭共用棟にてライヴ録音
(演奏) 阿部薫 (Alto Saxophone-M1,2, 7,8/ Bass-Clarinet-M4,5)

[CD3] 阿部薫ソロ/ Live at 一関ベイシー (&デュオ 東北大学)
1. アルト・サキソフォーン・ソロ・インプロヴィゼーション 17'46
2. バス・クラリネット・ソロ・インプロヴィゼーション 16'24
3. 暗い日曜日 16'16
4. 恋人よ我に帰れ Part.2* 11'06
(録音) 1971年12月6日 一関ベイシーにてライヴ録音/ (M4)1971年10月31日 東北大学教養学部教室にてライヴ録音
(演奏) 阿部薫 Alto Saxophone-M1,3, 4/ Bass Clarinet-M2 & 佐藤康和 Percussion-M4 *1971年10月31日 東北大学教養学部教室にてライヴ録音

恥ずかしながら、私はこれまで阿部薫というフリージャズ・サックス奏者のことを全く知りませんでした。新聞記事に書かれていたこと以外、何の先入観を持たず聴いた彼の音楽に、私はまさしく度肝を抜かれました。50年前の日本で、こんな凄いフリージャズが演奏されていただなんて、自分の無知さに正直、腹が立ちます。「かっこいいかどうか」なんていう、軽薄な価値観とはまったく次元の異なるところにある、本物のジャズであり、真のインプロビゼーションがそこにはあります。

何度も言いますが、こんな音楽が50年前の極東の地で演奏されていたことに驚かされます。これは日本ジャズ界が世界に誇ってよいものです。阿部薫が、まさしく魂を削って産み出した音楽です。慌ててライナーノートや紹介サイト等を読むと、彼は、短いながら、かなり破天荒な人生を送った演奏家であり、その演奏、そして言葉、行動は時に極端、過激であったことが分かります。天才という言葉が浮かんできます。特に直接関わった方々にとって彼は複雑かつ理解できない、難しい人物だったようですが、こうして遠目から見る限り、とても魅力的な人間だったようにも感じられます。

いやあ、本当に吃驚しました。遅ればせながら、私はこうして、私にとってかけがえのない、一人の日本人ジャズプレーヤーを知ることができました。これからじっくりと彼の他の演奏も探して聴いてみようと思います。


こちらはYoutubeにアップされている「Kaoru Abe - Partitas 1973 (Full Album)」