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藤田真央のモーツァルト、ピアノソナタ全集を聴いて [音楽を聴いている]

これもかなり前の話になってしまって恐縮なのですが、藤田真央(ふじた まお 1998年~)のモーツァルト、ピアノソナタ全集の演奏について、私の雑感をご紹介したいと思います。ご存じの方も多いかと思いますが、私はクラシック音楽、それも特にピアノ音楽を中学生の頃から聴いてきました。これは、当時、姉が本格的にクラシックピアノの練習をしていたことが関係しているものと思われます。これまで色々なピアニストの演奏を楽しんできたものの、歳を取ってからは、あまり新譜は聴かず、旧譜ばかりを追いかける日々となっています。

そんな中、大学時代のサークル(クラシック音楽の鑑賞サークル)の先輩(彼はベトナムで会社を経営していて、日本にも支社を構えています)や同学年だった友人(彼は私のブログにこれまで何度も登場しています。釣りにも一緒に行きました)と、鎌倉や茅ケ崎の居酒屋の居酒屋で何度か飲む機会があり(直近では今年の2月16日でした)、その度に、サークルの先輩から「藤田真央が弾くモーツァルトのピアノソナタ演奏は良いよ。焦燥する中年男も是非、CDでも聴いてみたら?」と勧められていました。先輩はCDのみならず生演奏(コンサート)でも、彼の演奏を聴いて感銘を受けたとのこと。

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藤田真央「モーツァルト:ピアノ・ソナタ全集」(ソニー・ミュージックレーベルズ CD)

そこで、私もやっと重い腰をあげて、彼の演奏を聴いてみることにしました。都合の良いことに、インターネット音楽配信サービス「Spotify」で彼のモーツァルト、ピアノソナタ全集の録音を聴くことができます。一聴して、私はこれまでレコードやCDで幾度も聴いてきた、エッシェンバッハやヘプラー、ギーゼキング、グールドといった色々なピアニストの、どのモーツァルトのピアノソナタ演奏と比べても、引けを取らないというか、ある意味、別次元の素晴らしさを知ることになりました。

藤田真央のモーツァルトのピアノソナタ演奏を聴いて、まず受けた印象は「自由」です。といっても彼は譜面を自分勝手に解釈して演奏している訳ではありません。むしろ、どちらかというと譜面に忠実な演奏ではないかと思われます。しかしながら、聴いているうちに、なんだか音楽の妖精たちが次から次へとピアノから舞い上がってきて、お互い自由に、そして無邪気に空中で戯れてあっているような印象を受けたのです。これに似た印象を受けた演奏といえば、私の場合、1993年にドイツ、デュッセルドルフで聴いた、リヒテルの弾く「幻想曲、アダージョとフーガ ハ短調 BWV 906/968」の演奏くらいでしょうか(その時のことを書いた記事はこちら→https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2022-03-17

なんという音楽的才能なのでしょう。これまで、しばしば書きましたが、見事な音楽芸術には時空を歪ませる力があります。「これは21世紀を代表するモーツァルトのピアノソナタ演奏になるんじゃないか…」という想いを拭いさることができません。それほど、私は藤田真央の弾く、モーツァルト、ピアノソナタの演奏に感銘を受けました。

いやぁ、先輩の勧めに素直に従って、本当に良かったです。ありがとうございました。


こちらはYoutubeにアップされている「藤田真央がザーリャディエ音楽祭でモーツァルトを演奏 - フルコンサート」。2019年にモスクワで開催された第1回ザリャジエ国際フェスティバルでのコンサートの模様です。こちらも素晴らしい演奏です。


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