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リヒテルが遺したバッハの平均律の録音について [私の好きなピアニスト]

以前、記事で、20世紀を代表する名ピアニストであるスヴャトスラフ・リヒテル(Sviatoslav Richter 1915〜1997年)が1991年に遺したバッハの諸作品の録音を紹介しましたが、リヒテルのバッハといえば、何といっても1970年から1973年にかけて3年がかりで録音された平均律全集が特に有名かと思います。

「リヒテルが1991年に遺したバッハの諸作品の録音について(1)」
 →https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2022-03-25
「リヒテルが1991年に遺したバッハの諸作品の録音について(2)」
 →https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2022-03-28
「リヒテルが1991年に遺したバッハの諸作品の録音について(3)」
 →https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2022-03-29

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リヒテル「平均律クラヴィーア曲集」(CD4枚組)

バッハの平均律クラヴィーア曲は音大ピアノ科の一次試験の課題曲となることが多く、受験生にとっても、このCDは必携のものとなっているようですが、クラシック音楽ファンにとっても、まさしく音楽芸術の至宝ともいうべきものかと思います。

リヒテルの平均律の録音については、ライブCDも遺されています。これは1973年7月、8月、オーストリアのインスブルック、ヴィルテン少年合唱団の本拠地としても知られるヴィルテン修道院付属教会でのもので、当時、リヒテル自身が放送録音から選んだシリーズで日本で発売されたものの、すぐに廃盤となってしまい、まさに「幻の録音」となっていました。その後2010年に正規中国盤(JVCライセンス盤)が発売され、それが一部、日本にも入荷されたことから(今ではオークションや中古CDショップでしか入手できないながらも)入手はなんとか可能なものとなっています。

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リヒテル「平均律クラヴィーア曲集 インスブルック・ライブ」(CD4枚組)

私は恥ずかしながら最近になって、このライブ盤のことを日経新聞の日曜版「NIKKEI The STYLE」の記事で知り、慌てて中古CDを安価で入手、ここ一ヵ月ばかり、良く聴いています。このライブ盤は、スタジオ録音と較べると(テンポの緩急や表情の起伏が大きく)トータルでが約19分も短く、ライブならではの迫力あるものとなっています。いやあ、こちらも素晴らしいですね。しかし、何という録音なのでしょう。あまりに曲、そして演奏のスケールが大きすぎて、一気に聴くのが憚られてしまいます。これを実際に聴いた聴衆はどんな気分だったのでしょう。果てしない宇宙空間に独りで漂っているような感じだったのかもしれません、ちょっと想像できないですね。

是非、機会があれば、こちらのライブ盤も聴いてみて下さい。残念ながら当盤自体はYoutubeにアップされていませんが、第一巻のみですが、1969年4月におけるモスクワでのライブ音源は聴くことができます。こちらも聴く人間の力が試される物凄い演奏かと思います。


こちらがYoutubeにアップされている「J.S. Bach, The Well-Tempered Clavier, Book 1 / Sviatoslav Richter ( 1969 )」。April 20 & 21, 1969 Live Recording, Great Hall of the Moscow Conservatoryとのことです。


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