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横浜のミニシアター「シネマ・ジャック&ベティ」で映画「フィリピンパブ嬢の社会学」を観ました [映画を観ている]

今回も映画の話題です。こちらも少し前のこととなりますが、3月の中旬に横浜、中区若葉町のミニシアター「シネマ・ジャック&ベティ」で映画「フィリピンパブ嬢の社会学」(2023年/日)を独りで観ました。

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映画「フィリピンパブ嬢の社会学」ポスター

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、この映画は中島弘象氏による実体験を描いた新書「フィリピンパブ嬢の社会学」(新潮新書)を映画化したもので、内容は、

大学院でフィリピンパブを研究対象にした青年がフィリピンパブで出会った女性と恋に落ち、その過程で、フィリピンパブ嬢たちを取り巻く厳しい実態を目の当たりにしながらも、二人で協力して人生を切り開いていく。

というものです。私は前に、この原作を読んでいたこともあって(その時の記事はこちら→https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2018-09-11、観てみたという訳です。

映画を観た感想ですが、正直、あまりピンと来なかったです。フィリピンパブ嬢に恋した一人の青年の個人的な体験記を観せられているだけに過ぎないように感じられ、結局、この映画が一体、観客に何を伝えたかったのか、私には分かりませんでした(さすがにフィリピンパブに勤めるフィリピン女性の、人生への前向きな明るさと優しさを伝えたかっただけではないと思いますが…)。

フィリピンパブ、そしてそこで働くフィリピン女性のことを、まったく知らない人にとっては、「知ることができた」という意味で、もしかしたら意義のあるものなのかもしれませんが、もし、そうだとしたら、その厳しい実態にもっと深く迫るべきだったかと思います。

少し、残念な視聴体験となってしまいましたが、これに懲りずに、機会を見つけて色々な映画を観ることにしようと思った次第です。


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映画「BLUE GIANT」を観ました [映画を観ている]

少し前の話になりますが、自室でアニメ映画「BLUE GIANT」(2023年/日)を観ました。以前にも何回か記事にしていますが、石塚真一氏の漫画「BLUE GIANT」シリーズ(日本編となる「BLUE GIANT」、ヨーロッパ編の「BLUE GIANT SUPREME」、アメリカ上陸・横断編となる「BLUE GIANT EXPLORER」は完結し、現在ニューヨーク編となる「BLUE GIANT MOMENTUM」が連載中)は私の大好きな漫画でして、主人公であるジャズサックス奏者、宮本 大が自らのジャズを極めようと、様々な魅力的な人々と交流を深めながら、個性的で実力のあるメンバーを集め、自身のグループを率いて、苦労しながら、共に成長していく物語です。今回の映画はそのうち、原作漫画の10巻までとなる日本編にあたります。

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映画「BLUE GIANT」ポスター

映画公開時、とても好評を博していたことは知っていたものの、私は観る機会を逸してしまっていました。今回「Netflix」での配信がスタートしたことを知り、さっそく観てみたという訳です。

既に漫画で読んでいたので、映画のあらすじは知っていたのですが、私はとても楽しく、この映画を観ました。というのは映画には原作漫画では聴くことの出来ない実際のジャズ音楽を聴くことができたからです。

映画での音楽はジャズピアニストの上原ひろみが担当、主人公である世界一のジャズプレイヤーを目指す宮本大のサックスを演奏したのが馬場智章とのことですが、原作の雰囲気をまったく損なわない、まさにこういう音楽であり、演奏だっただろうと思わせるもので、私はそれらの音楽に夢中になりました。


こちらはYoutubeにアップされている映画「BLUE GIANT」中の劇中歌「FIRST NOTE」

実は私、以前の記事で、上原ひろみさんのソロアルバム「Spectrum」を聴いて、彼女の演奏はそれほど良いとは思わなかったと書いたのですが(その記事はこちら→https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2019-10-04-3、その印象はこの映画を観て、見事に払拭されることになりました。「BLUE GIANT」での彼女の音楽、そして馬場智章のサックスはアグレッシブでインプロヴィゼーションに満ちたもので、本当に素晴らしいものでした。

この映画、ストーリー、音楽のどちらも印象的な良い映画でした。もし、観ていない方がいらっしゃったら、是非一度、観てみてください。ジャズの魅力を存分に味わうことができるかと思います。


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映画「白日青春」を観ました [映画を観ている]

3月1日の午後、横浜、中区若葉町のミニシアター「シネマ・ジャック&ベティ」で映画「白日青春」(英語題:The Sunny Side of the Street 2022年/香港・新加坡)を独りで観ました。ちょうど、その日は予定が何も入っていなかったので久しぶりに映画館で映画を観ようと思い、どの映画にするか迷った挙句、この映画を観ることにしたという訳です。この映画は「香港の名優アンソニー・ウォンが難民の少年と心通わす感動のヒューマンドラマ」(以上、「白日青春」公式HPの紹介文からの引用)というもので、

(アンソニー・ウォン演ずる)タクシー運転手バクヤッは、パキスタン人の難民と事故を起こし、その子供ハッサンを知るようになる。事故で突然父を亡くしたハッサンはギャングの溜まり場に入り浸り、警察にに追われる身となってしまう。守ってくれる人がいない香港で居場所がないと嘆くハッサン。彼の身を案じたバクヤッは、逃亡を助けようとする。しかし、車の中にあった父の遺品を見つけたハッサンは、事故の相手がバクヤッだと分かり…
(以上「白日青春」映画チラシの「story」説明からの引用、()内の分は私が加筆したものです)

といった内容のものです。この111分に亘る映画を見終わった私の正直な感想は「まあ、それなりかな?」というもので、残念ながら感動を得るまでには至りませんでした。ただ、香港におけるパキスタン難民の厳しい現実を知ることが出来たのは良かったです。

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映画「白日青春」ポスター。それこそ、まさに個人的な話になってしまって恐縮ですが、主演のアンソニー・ウォンに、私の亡き父の面影を少しながら見つけられたことがとても印象的でした。それだけで、私は、この映画を観た甲斐があったと思いました。

映画を観終えた後、「シネマ・ジャック&ベティ」の3月の上映スケジュールを確認してみたのですが、観たいなと思った映画は1本くらいでした。とはいえ、また機会を見つけて映画館で映画を観ようと思った次第です。


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渋谷のユーロスペースでカウリスマキ監督の映画「枯葉」を観ました [映画を観ている]

先週の木曜日(12月21日)は、仕事の予定が何も入っていなかったこともあり、お休みを取って渋谷まで出向き、国内外のインディーズ作品を主に上映しているユーロスペースで、フィンランドの名匠アキ・カウリスマキ(Aki Kaurismäki 1957年~ )が5年ぶりに撮った、第76回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で審査員賞を受賞した映画「枯葉」(2023年/フィンランド・独)を観ました。私は新聞を始め、色々なメディアにおける好意的な映画評を読み、是非観てみたいと思っていました。この映画は、

北欧の街ヘルシンキ。アンサは理不尽な理由から仕事を失い、ホラッパは酒に溺れながらもどうにか工事現場で働いている。ある夜、ふたりはカラオケバーで出会い、互いの名前も知らないまま惹かれ合う。だが、不運な偶然と現実の過酷さが、彼らをささやかな幸福から遠ざける。果たしてふたりは、無事に再会を果たし想いを通じ合わせることができるのだろうか…?
(以上「Filmaerks」のHPの映画情報「あらすじ」からの引用です)

という、孤独を抱えながら生きる、中年の男女のラブストーリーです。社会の底辺に属する労働者や失業者といった市井の人々の、精一杯生きる姿を、ヒューマニズムに溢れた、何とも味のあるタッチで描いた映画でして、好感を持って観ることができました。良い意味で「佳作」という言葉がぴったりだと思いました。ところどころ思わず笑ってしまうようなユーモアがちりばめられているのがとても良いアクセントとなっています。

恥ずかしながら、私にとって初めてのカウリスマキ監督の映画だったのですが、これからも機会を見つけて彼の作品を観てみようと思った次第です。この日、私はこの映画に接し、束の間ながらも、良質な時間を過ごすことができました。

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映画「枯葉」ポスター

(2024年3月1日追記)
昨夜、自分の書いた過去のブログ記事を読み直していたところ、2019年の8月に自宅で、アキ・カウリスマキ監督の映画「ル・アーブルの靴磨き」を自宅で観ていたことが分かりました(その時の記事はこちら→https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2019-08-19。すっかり失念していたなんて、何とも情けないです。本文中で「枯葉」を「私にとって初めてのカウリスマキ監督の映画」と言っていますが、「私にとっては「ル・アーブルの靴磨き」に続く、二作目となるカウリスマキ監督の映画」が正しいです。ここに訂正させていただきます。申し訳ありませんでした。


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先週の木曜日、私は独りで横浜駅近くの映画館で「正欲」を観ました [映画を観ている]

先週の木曜日は一日、まったく予定が入っていなかったので、私は独りで外出し、本屋で前から欲しかった本を買ったり、前から言ってみたかったスパゲティ屋でナポリタンを食べたりした後、暇潰しも兼ねて横浜駅近くの映画館で映画を観ることにしました。

あまり派手な映画を観る気分では無かったこともあり、私は上映中の映画の中から、ちょっと地味そうな「正欲」というタイトルの日本の映画を選びました。そして、どんな映画なのか、まったく知らないまま、私はこの映画を観ました。

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映画「正欲」ポスター

この映画は、家庭環境や性的指向、容姿といった様々な“選ぶことのできない”背景を持つ人々の姿を描き、第34回柴田錬三郎賞を受賞した朝井リョウの同名ベストセラー小説を、稲垣吾郎と新垣結衣の共演で映画化したものです。内容は、

検事の寺井啓喜(稲垣吾郎)は、不登校の息子の教育方針をめぐり妻と度々衝突している。秘密を抱えた桐生夏月(新垣結衣)が世間と断絶を望み、ショッピングセンターで販売員をしていたが、秘密を知る佐々木が地元に帰って来たと知る。八重子は同じ大学に通う大也を気にしていて……といった具合に、まったく関わりがないかと思われた人物たちが、ある事件をきっかけにそれらの人生が交錯していく様を描く。この文章は「映画ナタリー」HPの作品情報の文章の一部を全面的に引用したものです。一部改変を加えています)

といったものでして、普通はなかなか理解されない、マイナーな嗜好を持つ人々の生きにくさ、また、そうした中での他者との繋がりが主なテーマとなっています。

正直に言いますと、私はとても退屈に感じてしまい、観るのを辞めてしまおうかとも思ってしまいました。何と言うか、とても動きの少ない映画で(普段、映画を見慣れない)私にはハードルが高かったです。そんな、どちらかというと後ろ向きの感想しか持てなかったのですが、唯一、神戸八重子役の東野絢香(ひがしの あやか 1997年〜)の演技にはとても心を動かされました。男性と接することが苦手な八重子は大学の学園祭実行委員で、多様性を称える「ダイバーシティフェス」を計画。諸橋大也が所属するダンスサークルを訪ね、出演を依頼したことから、女性に全く関心が持てない大也との接点が生まれ、彼を好きになる中、八重子が大学の教室で、秘めていた思いを大也に明かすという、6分半にも及ぶシーンなのですが、この場面の彼女の演技は真に迫っていて、私はその物凄い迫力と説得力に圧倒され、思わず滂沱の涙を流してしまった程でした。

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映画「正欲」の1シーンにおける神戸八重子(東野絢香)

この、映画初出演作だという東野絢香の演技を観るためだけでも、私はこの映画を観る価値があると思います。こうして私は、今後が楽しみな一人の女優を知ることができました。


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暇に任せてインターネット動画配信サービスで二本ほど、アニメ映画を観ました [映画を観ている]

お盆の週は暇だったこともあって、インターネット動画配信サービスで、二本ほどアニメ映画を観ました。今回は、その二本を紹介したいと思います。

一本目は、2017年公開のアニメ映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」です。あらすじは、

小学生の典道と祐介は仲の良い友達で、2人とも同級生のなずなの事が好きだった。しかしなずなの両親が離婚し、彼女が母親に引き取られて2学期から転校することになっているとは、2人には知るよしもなかった。親に反発したなずなは、プールで競争する典道と祐介を見て、勝った方と駆け落ちしようとひそかに賭けをする。
(以上、「Wikipedia」解説文「あらすじ」からの引用です)

という、少年のひと夏の思い出を、一種のタイムリープものとして幻想的に描いた映画となります。アニメの映像はとても美しいもので印象に残ったものの、ストーリー自体はきつい言い方をすれば、主人公の少年の妄想というか想像を描写しただけとも言え、謎の残る結末は面白いとは感じたものの、私にとっては、まあそれなりといった感じの映画でした。

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アニメ映画「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」宣伝用画像

そして、もう一本は、2020年公開のアニメ映画「ジョゼと虎と魚たち」です。あらすじは

大学で海洋生物学を専攻する恒夫は、メキシコに生息する幻の魚を見るという夢を追いながら、バイトに勤しむ日々を送っていた。そんなある日、坂道を転げ落ちそうになっていた車椅子の女性ジョゼを助ける。幼少時から車椅子で生活してきたジョゼは、ほとんどを家の中で過ごしており、外の世界に強い憧れを抱いていた。恒夫はジョゼと2人で暮らす祖母チヅから彼女の相手をするバイトを持ち掛けられ、引き受けることに。口が悪いジョゼは恒夫に辛辣に当たるが、そんなジョゼに恒夫は真っ直ぐにぶつかっていく。(以上、「映画.com」の「解説」からの引用です)

といった青春純愛アニメ映画でして、私は、とても面白く観ました。「良い映画だったなぁ」などと思いながら、この映画のことをネットで調べてみると、原作は田辺聖子の小説で、2003年には実写による映画化もされたものだということが分かり、更に調べているうちに、文春オンラインの記事「名作『ジョゼと虎と魚たち』アニメ版は“純愛推し”だが…消された「性被害」の重み」(https://bunshun.jp/articles/-/42520)という記事にぶつかりました。

私は原作の小説を読んでおらず、実写化された映画も観ていないのですが、この記事によると、原作、実写化版、アニメ版の映画において、結末は大きく異なるようです。(ネタバレになりますが)原作の小説ではジョゼは歪な関係性の中に束の間の幸福を見出す一方、破局の予感もはっきりと持っていて、実写版では恒夫が親に結婚を言い出せず、やがて逃げるように去り、そしてアニメ版では2人は幸せなキスで結ばれる。その後も関係は更に深まっており、完全なハッピーエンドになっています。(この一文については文春オンラインの記事の文章を、一部手を加えたものの、ほぼ全て引用しています)

アニメ版においては、まるでディズニー映画のような、原作からの改変がなされているという事実に驚かされると共に、このアニメ映画は、私のように原作も実写版の映画をまったく知らない人と、原作小説を好きな人、実写版の映画を好きな人とでは、まったく異なる評価になるであろう映画だということが分かりました。

この問題は、なかなか厄介です。アニメ版において結末が全く異なるというのであれば、せめて田辺聖子の小説にインスパイアされたことを明示した上で、題名だけでも変えた方が良かったのではと思います。映画自体は面白いと感じていただけに、少し白けた気分になりました(涙)。いつか、機会を見つけて原作の小説の方を読んでみようと思った次第です。

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アニメ映画「ジョゼと虎と魚たち」ポスター


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映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」を観ました [映画を観ている]

5月はなにかとバタバタしていたこともあり、また生来の怠け癖も手伝って(汗)、ブログの更新をほとんどしませんでした。今日から6月になり、またネタも沢山溜まってしまったので、心機一転、これから少しづつ記事をアップしていこうと思っています。どんな方が私のブログを読んでいるか、想像も付きませんが、何卒よろしくお願いいたします。

前の記事で横浜、伊勢佐木町の名画座「シネマリン」で、2018年の中国映画「郊外の鳥たち」(原題「郊區的鳥 (Suburban Birds))を観たことを書きましたが、5月12日の金曜日に、今度は若葉町のミニシアター「シネマ・ジャック&ベティ」で2022年に制作されたアメリカ映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(原題「Everything Everywhere All at Once」)を独りで観ました。

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映画「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」チラシ

ご存知の方も多いかと思いますが、この映画は2023年の第95回アカデミー賞において、作品賞、監督賞、主演女優賞など7部門を受賞しています。そんなこともあって、私は期待に胸をふくらませながら、この映画を観ました。

映画を観終わって、まず、私が感じたのは「B級映画としてなら、それなりに面白かったと言えるかもしれないけど、アカデミー受賞作として評価するとなると、それほど面白い映画ではなかったなぁ…」という、なんとも複雑なものでした。この映画が伝えているメッセージは、かなりシンプルでストレートなもののように感じられます。主人公はいくつもの世界が並行して存在するマルチバースの中で特殊能力を発揮しながら危機に立ち向かうのですが、それはかなり下品なドタバタ劇といっても良いようなもので、映像として一部面白いものはあったものの、かなり退屈なもの(これもわざとそのようにしているのだとは思いますが)でした。

これは私自身の問題ではあるのですが、「アカデミー受賞作」という先入観が、鑑賞を邪魔してしまったことは否めないかと思います。何の先入観もなく観たら、それなりに素直に楽しめたのではないかと、少し残念な気分になりました。

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こちらが横浜市中区若葉町の老舗のミニシアター「シネマ・ジャック&ベティ」。横浜、伊勢佐木町の名画座「シネマリン」と並ぶ、有名な映画館です。恥ずかしながら、私は今回、初めてこの映画館を訪れました。



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映画「郊外の鳥たち」を観ました [映画を観ている]

以前の記事で、ホーチミン・バンコク出張時のANAの機内で映画を二本観たことを書きましたが(その時の記事はこちら→https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2023-04-26、これから機会を見つけて、もう少し映画を観るようにしようと思った私は、さっそく先週の金曜日の午後、横浜、伊勢佐木町の名画座「シネマリン」で、2018年の中国映画「郊外の鳥たち」(原題「郊區的鳥 (Suburban Birds))を独りで観ました。

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映画「郊外の鳥」のチラシ

沈下する地盤。傾くビル。打ち捨てられた教室と住宅。その土地に染み付いた記憶は男を過去にいざなう。物語は、再開発地域の測量に訪れた青年が、廃墟で見つけた絵日記の世界を追想する姿を描く。(Webサイト「こんな映画は見ちゃいけない!」の紹介記事からの引用)

まるで映像による散文詩のような映画でして、作品の中で色々な謎かけがなされるものの、それに対する答えは一切提示されないままで、観客は、まるでそのまま放り出されたような不思議な感覚を覚えることとなります。作中における測量機器や双眼鏡など、レンズを通してみる世界の姿はどこか歪んでいながらも、不思議な安堵感というかノスタルジーのようなものをもたらします。何と言っても主人公の少年時代(はっきりと明示されているわけではありません)の映像には強い共感を覚えました。

開発進む都市の中で生き生きと日常を謳歌する子供たちの姿。(中略)やがて子供たちは、ひとり、またひとりと姿を消していく。(以上、「郊外の鳥」映画チラシ裏面の文章からの引用)

【以下、この記事はネタバレを含みますのでご注意下さい】
ラストシーンでは、「(幸せの)青い鳥」は一体、どこに行ってしまったのか、昔、この森にいたのは確かなようですが、今もいるのか、もう、既に飛び去ってしまって、いないのかは分からないことが示されながら、ハイキング姿のまま眠る二人の男を映し続けて終わります。なんともポエティックな映画でした。

なんというか、自分の奥底の微妙な感性を呼び覚ますような、そんな映画でした。実は私、観始めた時は疲れのためか眠くてしょうがなかったのですが、いつの間にか、しっかりを覚醒して映画の世界に没入していたのには、思わず苦笑した次第です。

時にはこんな映画を観てみるのも良いものです。なんとも心のどこかに引っかかるような、そんな佳品でした。


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ホーチミン、バンコク出張時に、機内で観た映画について [映画を観ている]

今回は、前回の記事で書いた、ベトナムのホーチミンとタイのバンコク出張時に、ANAの機内で観た映画をご紹介したいと思います。

一本目は「ある男」(2022年/日)です。この映画は、第70回読売文学賞を受賞した平野啓一郎の同名小説を映画化したものでして、妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝が共演したヒューマン・ミステリーです。とても評判が良かったようで、第46回日本アカデミー賞では最優秀作品賞を含む同年度最多の8部門(ほか最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀主演男優賞、最優秀助演男優賞、最優秀助演女優賞、最優秀録音賞、最優秀編集賞)を受賞しています。

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「ある男」映画ポスター

内容についてはネタバレとなってしまうので書きませんが、私は、この映画をそれなりに楽しみました。日本映画には、独特の「しっとり感」があるように常日頃から感じているのですが、この映画も例外ではなく、なんとも言えない情緒を感じさせるものとなっています。他の人に「是非に」と薦めるほどではなかったものの、観て損はないかと思います。私にとっては、そんな映画でした。

二本目は「PRESS PLAY」(2022年/韓・米)です。この映画はどうも日本では公開されなかったようですが、私はとても楽しく観ました。内容はSFロマンティック・ラブストーリーといったものですが、主演のクララ・ルガアート(Clara Rugaard 1997年〜)がとても魅力的で良かったです。Wikipediaによれば、彼女はデンマーク出身の女優・歌手とのことです。私はこれまで彼女の歌を聴いたことはないものの、機会があれば聴いてみたいと思いました。

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「PRESS PLAY」映画ポスター

愛する恋人を失った女性が、恋人が彼女のために作った、好きな曲がミックスされたカセットステープを使って過去に戻るというタイムトラベルものなのですが、ストーリーが俊逸で面白く、違和感を感じることなく映画の世界に入ることができます。佳作という言葉がぴったりの、(私にとっては)とても良い映画でした。

こうして私は今回、(飛行機の機内ではあるものの)久しぶりに映画を楽しむことができました。これから機会を見つけて、もう少し映画を観るようにしようと思った次第です。

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こちらは今回の出張時にANAの機内で頂いた機内食、上が羽田からホーチミンへの移動時、下がバンコクから羽田への移動時のものです。私はどちらも和食を選びました。

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そして、こちらがホーチミンからバンコクにベトナム航空のフライトで移動したときの機内食。一時間半ほどの短いフライトながらも、機内食が提供されました(その点はヨーロッパ域内の国境を跨ぐフライトの時と同じです)。味はまあ、それなりでした(汗)。


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映画館で「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」を3D・Dolbu-Cで観ました [映画を観ている]

先週の金曜日、横浜駅前の映画館で「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」(原題「Black Panther: Wakanda Forever」2022年/米)を3D・Dolby-Cinemaで観ました。この映画は、

マーベル・コミックのスーパーヒーロー、ブラックパンサーをベースとした、2022年のアメリカ合衆国のスーパーヒーロー映画(以上「Wikipedia」解説文からの引用)

でして、2018年に公開され、大ヒットした映画「ブラックパンサー」の続編にあたります。

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本作の計画は、ティ・チャラ / ブラックパンサー役のチャドウィック・ボーズマンが大腸癌で亡くなった2020年8月に変更され、マーベルはティ・チャラ役をリキャストしないことを選択した。(以上、同じく「Wikipedia」解説文からの引用です)

とのことだったのですが、私自身は第一作を観ていなかったにも関わらず、すんなりと本作の世界観に入ることができました。ストーリー自体は、ワカンダ王国の超文明やテクノロジーを支えている頑強で不可思議な性質を秘める鉱石「ヴィブラニウム」を巡る、同じく高度な文明を誇る海底王国タロカン帝国との軋轢、戦いを描いたものです。コミックの映画化ということもあって、アクションシーン満載のものでして、上映時間は二時間半を超えるものながら、私は、その見事な映像と音響を、3D・Dolby-Cinemaで存分に楽しむことができました。

こういう映画って、あまり深く考えずに楽しく観るのが一番です。と言いながらも、私はこの作品にアメリカ黒人文化の独特な価値観というか、強烈な匂いのようなものを感じました。映画自体が異文化を描いたものなので当然なのかも知れませんが、それでも、この映画の根底にある考え方が、日本人の持つ感覚、感性、そして、これまで観てきたアメリカ映画のものとは明らかに異なるように感じられたのです。その点が特に興味深かったです。

たまにはこういう娯楽映画もいいものです。良い気分転換になりました。


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