SSブログ

数多あるロマンスのなかでもブルッフの「ロマンス」は私の大好きな曲です [音楽を聴いている]

ベートーベンを始めとして(ルイ・オベールやジェルメーヌ・タイユフェールに到るまで)、多くのロマン派、近現代の作曲家が「ロマンス」と名づけた曲を作っています。どの曲もロマンティックで親しみやすい小品が多く、また作曲家の隠れた個性も窺い知ることができるので、私は好んでロマンスと名づけられた曲を聴きます。その中でもブルッフ(Max Christian Friedrich Bruch, 1838~1920年)が作曲した「ビオラとオーケストラのためのロマンス(Romance For Viola And Orchestra In F Major, Op.85)」は私の大好きな曲です。ブルッフというと、ヴァイオリン協奏曲やスコットランド協奏曲が有名ですが、この曲はビオラのために書かれており、(ちょっと映画音楽めいた所もあるものの)ロマンティックで美しい曲です。この曲が流れだすと、時もその歩みを少し落とし、陽の光も少し翳り始めるような気がします。少し、ビオラならではの低音の、本当に甘く、優しく、美しい旋律が続き、オーケストラとの、恋人同士の密やかな会話にも似た掛け合いの後、ディミヌエンドでこの曲は静かにその幕を閉じます。
晩夏の少しけだるい午後、窓を少し開けたせいでレースのカーテンがわずかに揺れている洋間の部屋で、移ろいやすい陽の光と共に、聴いてみたい曲の一つです。検索してみると、色々な演奏で聴くことができるようです。もし、聴かれた事がないようでしたら、是非一度聴いて見てください。(芸術的な価値がどうだとかいう議論が馬鹿馬鹿しくなるような)本当にロマンティックで美しい曲ですよ。

bruch Romance.jpg
写真はBruch「Works for Clarinet and Viola」(CD)

共通テーマ:日記・雑感