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武満徹の「ギターのための12の歌」はとても素敵な作品です [音楽を聴いている]

最近、通勤電車の中で良く聴く曲が、この、武満徹(1930~1996年)の「ギターのための12の歌」(1974、77年)です。この曲集は武満徹が選んだポピュラー・ソングの、クラシック・ギター用の編曲集でして、以下の曲が収められています。

「ロンドンデリーの歌」(アイルランド民謡)
「オーバー・ザ・レインボー」(アーレン)
「サマータイム」(ガーシュイン)
「早春賦」(中田章)
「失われた恋」(コスマ)
「星の世界」(コンバース)
「シークレット・ラヴ」(フェイン)
「ヒア・アンド・エヴリウェア」(レノン&マッカートニー)
「ミッシェル」(レノン&マッカートニー)
「ヘイ・ジュード」(レノン&マッカートニー)
「イエスタディ」(レノン&マッカートニー)
「インターナショナル」(ドジェイテール)

どれも、有名な曲ばかりですが、武満徹の絶妙な編曲で、とても聴きやすく、それでいて、何度聞いても飽きないギター曲となっています。これらの曲が流れるだけで周りの風景は一変し、とある快晴の午後、時間は自らその歩みのテンポを落とし、心地良いそよ風が、レースのカーテンをふわりと膨らませながら、部屋の中に忍び入ってくるかのような印象を受けます。

武満徹といえば、どちらかというと、邦楽器の「和」の響きを取り入れた現代音楽の作曲家といったような印象を持っていらっしゃる方が多いかと思いますが、彼は、こうしたポピュラー・ミュージックも多く作曲しています。特にこの「ギターのための12の歌」は、武満徹のこれらの曲への愛、そしてギターという楽器に対する深い理解と思い入れが素直にというかストレートに感じられる曲だと思います。

この曲集を聴くにあたり、私が愛聴しているのは、武満徹自身が、「今までに聞いたことがないようなギタリスト」と、その才能を高く評価ししていた鈴木大介の演奏によるものです。このCDには、他にはポピュラーミュンジックの編曲では「ラストワルツ」(1983年)が収められていて、これもとても素晴らしいギター曲となっています。是非一度聴いてみて下さい。編曲家としての武満徹の、これらの曲への愛情と、とても繊細で優しい眼差しに溢れた、クラシック・ギターという楽器の魅力が最大限に生かされた、とても素晴らしい小品集ですよ。

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写真は鈴木大介「武満徹 ギター作品集成」(CD)


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