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ブリジット・エンゲラーの弾く、「チャイコフスキー ピアノ作品集」を聴きました [私の好きなピアニスト]

私事で恐縮ですが、先週の金曜日(2月6日)に53歳になりました。ホント、もう、これ以上は歳とらなくて良いです(苦笑)。歳をとって喜んでいたのは、一体いつ頃までだったのでしょう? もう、どこからみても中年のオッサンになってしまいましたが(泣)、とはいえ、これからも自分なりの目標を掲げて、また、一年頑張ってみようと決意を新たにしたところです。

今回はクラシック音楽、それも、私の大好きなピアノ音楽についての話です。

これまで、チャイコフスキーが作曲したピアノ小曲集「四季」については、私の大好きな曲集でありながら、なかなか(全集では)満足する演奏がなくて困っていました。そんな中、最近になって発見し、これぞ決定盤だと愛聴しているのがブリジット・エンゲラー(Brigitte Engerer 1952~2012年)が30歳、1982年に録音した、「四季」全曲を含む「チャイコフスキー ピアノ作品集」です。

このアルバムには「四季 Op.37a」の他、「ドゥムカ Op.59」「ユモレスク Op.10-2」「夜想曲 Op.19‐4」「無言歌 Op.2-3」「感傷的なワルツ Op.51-6」といった曲が収められています。ブリジット・エンゲラーはチュニジア出身のフランス人ピアニストですが、「1969年のロン=ティボー国際コンクールのピアノ部門で第6位を獲得し、モスクワ音楽院に招かれてスタニスラフ・ネイガウスの下で五年間研鑽を積んで」(以上、Wikipediaからの引用、語尾を一部変えています)いますので、ある意味、チャイコフスキーについてはお国物と言って良いくらい、得意にしています。

実際、このアルバムで聴くことのできる彼女の演奏は、テンポ、強弱の付け方等、どれをとっても「中庸」といってよいもので、安心して聴くことができる、素晴らしいものです。これはあくまで私見ですが,チャイコフスキーのピアノ独奏曲(特に小品)の演奏って、曲としてきちんと聴かせようとなると、その演奏は、実はなかなか難しいのではないかと思います。少し、乱暴な意見となりますが、「四季」の演奏についても、例えば、何人かの男性ピアニストでの演奏では、ロマンティックに弾き過ぎて、曲の全体的な構成が崩れてしまっているケースがありました。どちらかというと、女性ピアニストの、ロマンティックながらも、曲全体の構成を見失わない冷静さこそが、チャイコフスキーの小曲の演奏には必要なのではないかと思います。

その点で、ブリジット・エンゲラーの演奏は、まさにツボを心得たものです。私が特に好きな曲である、「四季」の六月と十月、そして「夜想曲」や「感傷的なワルツ」における、見事にコントロールされた、それでいて情感に満ちた演奏は素晴らしいです。特に、このアルバムの最後の曲である「感傷的なワルツ」は、曲、演奏のどちらも非の打ちどころのない演奏で、とても印象深く、かけがえのないものです。

もし、まだ聴いていらっしゃらないようでしたら、是非、一度聴いてみてください。チャイコフスキーのピアノ小曲集の決定盤ですよ。

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写真はブリジット・エンゲラー「チャイコフスキー ピアノ作品集」(CD)。もし、購入されるのなら、この一枚だけ購入することもできますが、これを含んだ、彼女のフランス・デッカ、フィリップスに残した録音を集めた「ブリジット・エンゲラーの芸術」と名付けられたCD6枚組のセットがとても安価で、また、他の演奏の水準も高く、お勧めです。
尚、私の大好きな曲である「十月」に限ると、イスラエラ・マーガリット(Israela Margalit)が「Romantic Piano Pieces」と名付けられたCDに録音した演奏(CD上は誤植で「十一月」となっていますが、実際は「十月」です)が、こちらもとても中庸かつ情感溢れたもので、特にお気に入りです。


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