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「ゾラン・ジフコヴィッチの不思議な物語」を読み終えました [本を読んでいる]

今日の朝、通勤電車の中でゾラン・ジフコヴィッチ(Zoran Zivkovic 1948~)の三つの短篇が収められた「ゾラン・ジフコヴィッチの不思議な物語」を読み終えました。彼はユーゴスラビアの作家で、最初はSF作家としてデビューしたものの、1993年の「第四の円環」以降、「不条理的とも内宇宙的とも、幻想文学的ともシュルレアリスム的とも評される独自の思弁小説の作風を確立(巽孝之氏による「解説」からの引用)」したとのことで、今回読んだ三つの短編もそうした、彼の作風を十二分に堪能できる作品ばかりでした。
独特の雰囲気があるというか、まるでキリコ(Giorgio de Chirico 1888~1978年)の絵を観ているような独自の静的かつ神話的な小説世界がとても魅力的で、私の好きなタイプの作家でした。こうなると彼の他の作品もなんとか読んでみたいと思うのですが、この本以外はまだ翻訳されていないようです。この本自体も、福岡県の地方出版社から出版されていまして、とても意欲的で素晴らしい試みだと思いました。私は直接出版社に注文して入手しましたが、今はアマゾンで購入することができるようです。是非一度読んでみてください。
東欧の現代作曲家や作家たちの作品には、なんとも言えないユニークさというか、一筋縄では行かない現代的な屈折感というべきものが感じられて、とても惹かれます。これから少し意識的に触れて行きたいと考えています。

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写真はゾラン・ジフコヴィッチ「ゾラン・ジフコヴィッチの不思議な物語」(黒田藩プレス)

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