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ディエゴ・マラーニの「通訳」を読み終えました [本を読んでいる]

先ほど、オフィスでディエゴ・マラーニの「通訳」を読み終えました。この本は、

ジュネーヴの国際機関で通訳サービスの責任者を務めるフェリックス・ベラミーは部下から報告を受けた。16カ国語を操るひとりの通訳が、同時通訳中に異常をきたすという。問題の通訳は、「全生物が話す普遍言語を発見しかけているのだ」と主張するが解雇され、ベラミーに執拗につきまとったのち失踪を遂げた。彼の狂気は伝染性のものだった。うつされたベラミーは、奇怪な言語療法を受け、通訳が残した謎のリストを携え欧州中を放浪することに―。あらゆるものに隠れて鼓動する創造の恐るべき力。知的遊戯に満ちた、現代イタリア発幻視的物語。
(「BOOK」データベースからの引用)

というものですが、訳者あとがきで述べられているように「前衛小説ではなく、言語SFならぬ言語ミステリと表現できそうな小説」です。物語自体、「言語」という、現代的なテーマを取り扱っており、作者の才気に溢れたもので、それなりに夢中になって読んだものの、あまり気分の良いものではありませんでした。作者の思考回路が私のものとは明らかに異なるというか、私はこの作家に、本質的ところで、何か壊れたものを感じてしまうのです。それこそ、まさに「通訳」として働いている、多言語を話す作者と、一言語しか話せない私との間には、「言語」というものに対する考え方の根本的な相違・断絶みたいものがあるのでしょうか。う~ん、やはり、あまり人にはお勧めできないですね。それなりに面白かったけど…

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写真はディエゴ・マラーニ「通訳」(東京創元社)

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