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フランス・エーミル・シランペーの「若く逝きしもの」を読み終えました [本を読んでいる]

先週末、自宅の居間でフランス・エーミル・シランペー(Frans Eemil Sillanpää 1888~1964年)の「若く逝きしもの」(Nuorena nukkunut)を読み終えました。
この本は筑摩書房から出版(実際の本では、著者名は「シランパア」となっていますが、ここではWikipediaの表記に従い、本ブログでは「シランペー」とします)されたものの、久しく絶版になっており、入手は難しいものとなっています。私は図書館からこの古い本を借りて、読みました。

私がこの本を知ったきっかけは、朝日新聞でピアニストの舘野泉さんの紹介記事を読んだことによるものです。実際に読了した感想は「なんて見事な、そして素晴らしい小説なのだろう」という感嘆でした。北欧の作家の作品を読むのは、2010年7月に、スウェーデンのノーベル賞作家、ラーゲルクヴィストの「巫女」を読んで以来となりますが、こちらも1939年にノーベル文学賞を受賞した、フィンランドの作家、フランス・エーミル・シランペーの、この小説は、豊かな自然とその中で生きる人間の姿を見事に描写した傑作です。野に咲く可憐な白い花(そしてその花は、これから見事な花を咲かせようとする前に、無残にも、牛馬の弾く荷車の車輪に踏みつけられ、泥の中に埋もれてしまうのですが…)を思わせる主人公の若き女性、シリアの薄幸の人生が、その父親の人生と共に、簡潔ながらも、非常に深い洞察というか見識と共に語られていきます。ラーゲルクヴィストにしても、このシランペーにしても、北欧の作家はスケールが大きいというか、非常に広く、大きな枠組み(視点)の中で「人間」を深く洞察し、描写する術に長けているような気がします。この本が絶版なのは、余りにもったいないですね。広く、色々な方に読んでいただきたい作品かと思います。図書館にあるようでしたら(私は横浜市の図書館で借りました)、是非、借りてみてください。

私が最近読んだ中で、一番感銘を受けた本です。

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写真はフランス・エーミル・シランペー(シランパア)「若く逝きしもの」(筑摩書房)。朝日新聞における本書の紹介記事は以下のWebで読むことができます。
http://book.asahi.com/reviews/column/2013011300024.html


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