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ローザ・タマルキナの録音を再度、聴いて [音楽を聴いている]

最近、ふとした機会から、ローザ・タマルキナ(Rosa Tamarkina 1920~1950年)の遺した録音を再聴しました。ローザ・タマルキナは旧ソ連ウクライナ共和国の生まれのピアニストで、1937年、17歳の時に第三回ショパン・コンクールで2位となり、第二次世界大戦中にエミール・ギレリス(Emil Gilels、1916~1985年)と結婚するも、戦後、癌を患い、30歳の若さで亡くなった、夭折のピアニストです。
私は、彼女の市販されている録音は以前、一度、全て聴いているのですが、今回、新たに見つかった録音があるということで、今回、その演奏を含め、以前聴いたものも、一部、聴き直してみました。その上で、私の感想を正直に申し上げますと、これらの演奏は、彼女の天賦の才能を感じさせるものではあるものの、私が、今後も聴き続けることは、まず、ないだろうということでした。演奏に不備があるとか、演奏自体が悪いと言っているのではありません。これらの録音を聴く限り、彼女の才能は、まだ発展途上であり、まだ花開く前の蕾の状態のように感じられたからなのです。才能が開花した後の録音があるのでしたら、そこに至る過程としての意味あいはあるのでしょうが、開花するまえの蕾のまま、残念ながら、若くして亡くなった方の演奏を聴くというのは、私にとっては、ただただ残酷なことをしているような気がしてなりません。
ディヌ・リパッティやユーリ・エゴロフといった夭折のピアニストは、若いながらも、ピアニストとしての才能が開花してから亡くなっているように感じられるので、その録音には私にとって意味を持つのですが、ローザ・タマルキナの録音はレコード(記録)としての意義は認めますが、私にとっては、辛く、そして悲しいものでした。

Rosa Tamarkina 2.jpg
写真はローザ・タマルキナのポートレート

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