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私の「私の好きなクラシック・レコード・ベスト3」について [音楽を聴いている]

少し前の記事で、横浜関内の古本屋「古書 馬燈書房」で購入した、安原顕氏が編集した「私の好きなクラシック・レコード・ベスト3」(リテレール・ブックス)の話のついでに、私自身の「私の好きなクラシック・レコード・ベスト3」について簡単に紹介しましたが(その時の記事はこちら→https://syoso-chunen.blog.so-net.ne.jp/2019-05-27、今回は、それらのレコードについて書きたいと思います。

(私の選んだ「私の好きなクラシック・レコード・ベスト3」)
①ルービンシュタインが89才の時(1976年)の引退録音「ベートーヴェンのピアノソナタ18番/シューマンの幻想小曲集」(RCA)
②ケンプ「シューベルト即興曲集」(Gramophon)
③小犬のワルツ/アシュケナージ ・ショパン・アルバム(London)
次点はリパッティの「ブザンソン告別演奏会」と、同じくリパッティのショパンの夜想曲Op27 No2が収録されたレコード(どちらもEMI)

選定にあたっては、まずは私が当時(音楽CDが出る前、1970年代半ばから80年代半ばまでの10年程の間)レコードで親しんでいたものから選びました。また、その時期、私はクラシック音楽は専らピアノ音楽ばかり聴いていたので、今回挙げたレコードは全て、ピアノの演奏となります。その上で、レコード=記録という観点から選んだのがルービンシュタインが89才の時の引退録音とリパッティの「ブザンソン告別演奏会」です。前者は20世紀を代表する大ピアニストであるルービンシュタイン(Arthur Rubinstein 1887~1982年)による最後のソロ・レコーディングでして、1976年4月にロンドンで収録されたものです。この演奏を聴いて、このピアニストのこれまでの人生の深みを感じ、感動しない人はいないでしょう。と同時にこれが引退録音とは思えない、潤いと瑞々しさに溢れた演奏であることにも驚かされる事かと思います。ルービンシュタインらしい、聴いていて幸せな気持ちになる素晴らしい演奏です。

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ルービンシュタインが89才の時(1976年)の引退録音「ベートーヴェンのピアノソナタ18番/シューマンの幻想小曲集」。こちらは2016年に期間生産限定盤としてCD化もされています。

後者のリパッティ(Dinu Lipatti 1917~1950)の「ブザンソン告別演奏会」については、もう、何の説明の必要はないかと思います。高校生の時に姉のレコードで聴いたショパンのワルツ集以来、私は彼の演奏に魅せられてきました。その彼の最後の、白鳥の歌ともいうべきライブ演奏は、まさしく「記録」として、演奏の素晴らしさと共に、永遠の輝きを今でも放っているレコードです(以前、私がリパッティについて書いた記事のうち、主なものはこちら→https://syoso-chunen.blog.so-net.ne.jp/2009-08-21-1https://syoso-chunen.blog.so-net.ne.jp/2013-05-29

そして、ケンプ(Wilhelm Kempff 1895~1991年)の「シューベルト即興曲集」は私がクラシック音楽、それもピアノ音楽を好きになるきっかけとなりました(この曲と演奏について書いた記事はこちら→https://syoso-chunen.blog.so-net.ne.jp/2009-09-04。私にとっては本当に「個人的な体験」ながらも、その後、50年近くクラシック音楽を聴き続けることになった点で、(ある意味)私の人生を決めたレコードです。

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ケンプ「シューベルト 即興曲集」(1965年録音)

レコードの音の素晴らしさという点では「小犬のワルツ/アシュケナージ ・ショパン・アルバム」は、私のとって特別なレコードです。ここに録音されたアシュケナージ(Vladimir Ashkenazy 1937年~)の豊潤なピアノの音のすばらしさは、私の貧弱なステレオ再生装置でもはっきり分かるものでした。アシュケナージのピアノの音は録音者泣かせと言うか、なかなかうまく録音できなかったと聞いているのですが、このレコードについてだけは奇跡的に成功していると思います。ショパンの最晩年の曲ばかりを集めた選曲、そして全盛期のアシュケナージの素晴らしい演奏といい、今でも九州の実家に帰省したとき(レコードを実家に置いているので)は必ずレコードプレーヤーのターンテーブルに載せるレコードです(以前、このレコードについて書いた記事はこちら→https://syoso-chunen.blog.so-net.ne.jp/2011-12-12

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「小犬のワルツ/アシュケナージ ・ショパン・アルバム」(1976年録音)。今回、私が挙げた「私の好きなクラシック・レコード・ベスト3」の演奏については全てCDで聴くことができますが、この「小犬のワルツ/アシュケナージ ・ショパン・アルバム」だけは、アルバムのままでのCD化はされておらず、曲毎にバラバラにCD化されています。そういう意味で、このレコードは私にとって、とても貴重なものです。当時、とても良く売れたレコードだったようで、ネットオークションや中古レコード店等で、今でも比較的簡単に入手することができます。

そして、演奏の素晴らしさという点では、リパッティのショパンの夜想曲Op27 No2が収録されたレコードを聴いた時の感動は、いまでも忘れることはできません。全身の鳥肌が立つというか体中の血が固まってしまったような、そんな気分を味わったのは、このレコードが初めてかと思います。

以上、私自身の「私の好きなクラシック・レコード・ベスト3」についてでした。


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