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コニー・ウィリスのSFエンタメ小説「クロストーク」を読み終えました [本を読んでいる]

この週末の日曜日に自室で、アメリカ合衆国の女性SF作家、コニー・ウェルス(Constance Willis 1945年~)が2016年に発表した小説「クロストーク」(新・ハヤカワ・SF・シリーズ 原題「CROSSTALK」)を読み終えました。

この本は、先日、自宅最寄り駅近くの古本屋「Tweed Books」で新品としか思えない状態のものがとても安く売られているのを見つけ、思わず購入したものです。私にとってコニー・ウェルスの作品を読むのは、10年以上前に「航路」「ドゥームズディ・ブック」を読んで以来、久しぶりとなります。この「クロストーク」は著者、コニー・ウェルスにとっても六年ぶりとなる新作長編小説ということで、

画期的な脳外科手術EEDを受けることにより、恋人や夫婦がたがいの気持ちをダイレクトに伝え合うことが可能になった社会。携帯電話メーカーのコムスパン社に勤務するブリディは、エリートビジネスマンでボーイフレンドのトレントとの愛を深めるため、干渉してくる親族たちや、コムスパンいちの変人と名高いCBの反対を押し切って、EED処置を受ける。だが、ブリディが接続したのは、トレントではなくとんでもない相手だった!?人の心がわかることは幸福につながるのか?ソーシャル・メディアとコミュニケーションの未来を、SFならではのテーマとミックスする、超常恋愛サスペンス大作。
(以上、Amazon「商品の説明」における「内容「BOOK」データベースより」)からの引用です)

といった内容です。「恋愛サスペンス」というよりか、むしろエンタメ恋愛小説といった感じですね。とはいえ、私は読みだしたとたん、この小説世界に引き込まれ、一気に最後まで読みとおしました。とても面白かったのですが、なんというか、まるで娯楽小説の教科書を読んでいるような、ちょっとステレオタイプな所は少し鼻につきました。こんなことを言うと失礼かもしれませんが、ヒマつぶしにぴったりというか、例えば長期のバカンスで、(プールサイド等で)のんびりしている時に読むのに良さそうです。

この本は「新・ハヤカワ・SF・シリーズ」の一冊でして、ポケット版、欧米のペーパーバックのサイズで、おそらくヤケにくいようにと小口が橙色の塗料で染められているものです。なんとも言えない、その雰囲気というか、かっこよさは私にとって、昔から早川書房の「ポケミス」と同様、私の憧れでした。今は、本は基本的に図書館から借りて読むようにしているのですが、この本を古本屋で見つけた時は、その佇まいに惹かれて思わず衝動買いしてしまいました。たしか大学時代にエド・マクベインの「87分署シリーズ」を「ポケット・ミステリー」で読んだ時の思い出が蘇ってきます。当時は、早川書房のポケット版の本を読んでいる自分に酔ってましたね。(私はさすがにしませんでしたが)Gパンのお尻のポケットにさして、街を歩いたりするとかっこ良さそうです(苦笑)。

ハヤカワのポケット版の本は、読み終える頃には本が丁度いい具合にくたびれてきて、ますます良い風合いになります。ほんとっ、自己満足以外の何物でもないのですが、今回、使い慣れた辞書のように、本が自分に馴染んで、自分だけのものになるという感覚を久しぶりに味わうことができました。これもとても大事な、本に接するよろこびの一つです。

こうして私はコニー・ウィリスの「クロストーク」という本を、精神的に、そして物理的(?)にも、存分に楽しみました。

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コニー・ウェルス「クロストーク」(新・ハヤカワ・SF・シリーズ)


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