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義父から貰った洋服について(1) [服を着ている]

前の記事で義父母が自宅近くの高齢者向け賃貸マンションに引越ししたことを書きましたが、引越しにあたり義父母の衣類を整理していた時に義父から、(もう着ないからと)何着かのコート、スーツをお下がりに貰いました。

さっそく、家内が白洋舎に、高級仕上げであるローヤルクリーニングをお願いし、これらのコートが、まるで新品と見違えるようになって戻ってきました。私と(壮年期の)義父は背格好が似ていたり、腕の長さがほぼ同じこともあって、(胸回りは少し窮屈ですが…)義父の古い服は難なく着ることができます。そして今日、その義父のコートの一着、グレーのウールのロングコートを着て会社に出勤しました。

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こちらが義父からのお下がりのコート。実際はもっと深いグレーでして着ると、意外とタイトなシルエットになります。丈は膝小僧が出る程度。本当は着た姿をお見せしたいのですが、良いモデルがいないので(汗)ご勘弁を…今日はコートの下に、厚手の黒のコンパンに白地に青の細いストライプのボタンダウン・シャツ、浅緑のクルーネックの薄手のセーターにプレーントゥの黒の革靴といった格好でした。

袖を通した時点で、このコートがとても良質のウールでできていることが分かります、肌触りがとても良く、とても軽く感じられます。そして(仕立て物か思われますが)まるで私に設えたようにぴったりと馴染んでくれたのには驚きました。これは本当に素晴らしいコートです。義父は(家内に渡すときに)「これは本当に良いコートで、これまで大事に着ていたんだ」と言っていたそうですが、さもありなんと納得します。良く見ると、右胸あたりの裏地には東京、青山の「テーラー森脇」のタグが縫い付けられていました。テーラー森脇といえば政財界の大物や文化人の方々があつらえることで有名な老舗紳士服店です。

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こちらがコート裏地に縫い付けられた「テーラー森脇」のタグ。このコートでしたら、どんな有名レストランや割烹で、店の人にコートを預けることになっても気後れすることはないかと思われます。

恥ずかしながら、お下がりとはいえ、こんなに良い服を着たのは、生まれて初めてかも知れません。服装は、自然とその人のありようを映します。結婚して、30代のころヨーロッパに赴任した時には、ヒューゴ・ボスのスーツにフェラガモのウールのハーフ・コートなんぞを着ていたりしていましたが(今となっていみると、当時は絶対似合ってなかったという確信があります。とほほ…)、40代から50代前半にかけては、生活や二人の娘の教育等にかかりっきりで、自分の服装にお金をかける余裕など、まったくありませんでした。そのため洋服は大手衣類量販店のものばかりで、おしゃれとは程遠い恰好を長らくしていました。

服装に気を付けるようになったのは最近の事です。家内から「あなたももう歳なんだから、そろそろ服装や靴に気をつけたようが良いわよ」と言われるようになったものの、何を着て履けばいいのやら、まったく分からなくなってしまっていました(涙)。

家内はそんな私を、暇を見つけては百貨店に連れていって、セーター、ブレザーやコート、靴などを少しづつ揃え、シャツを仕立ててくれました。そうしているうちに、私自身も服装に少しは気を遣うようになり、またそれによって、自分に合った良い服を着る喜びが分かるようになりました。仕立ての良い、良質な服を着ること、そして、それなりのきちんとした靴を履くことは、その人を間違いなく幸せにしてくれます。このお下がりのコートも、着ているだけで自然と気分は上がりますし、気持ちがしゃんとします。実際のところ、若い時と違い、これくらいの歳になると、良い服を着て、きちんとした靴を履かないと、もうさすがに格好がつかないというのが本音といったところでしょうか。

今日の朝、私はこんな雑感を持ちました。義父が大事にしていたコートを、私もこれから大事に着ていこうと思った次第です。


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