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野矢茂樹著「無限論の教室」を読み終えました [本を読んでいる]

今朝、通勤電車の中で野矢茂樹著「無限論の教室」を読み終えました。この本は「無限」をテーマにしながら、カントールの集合論、ラッセルのパラドックス、直観主義、ヒルベルトとゲーデルの不完全性定理を対角線論法を横軸に据えて、分かりやすく解説した入門書です。昨年、ウィトゲンシュタインの「論理哲学論考」に接して以来、折にふれ、こうした入門書や専門書を読んでいたのですが、飯田隆著「言語哲学大全Ⅱ」を読みかけにしたまま、最近では、さっぱりご無沙汰になっていました。ふとしたきっかけでこの本の事を知り、私の好きな野矢氏の著作ということもあり、リハビリを兼ねて読んでみました。
著者はあとがきの中で「本書の精神的な背骨は、一回こそ出さなかったが、ウィトゲンシュタインなのである」と述べていますが、確かにその通りというか、私もこの本を読んでいる間、常にウィトゲンシュタインを意識していました。とはいえ、本書の白眉はなんといっても「対角線論法」です。カントールの集合論における「濃度」の証明を語る上で欠かせない対角線論法の概念を、グラフを用いながら、分かりやすく解説した上で、ラッセルのパラドックス、そしてゲーデルの不完全性定理の説明にまで応用していくところは、とてもスリリングで面白かったです。
とはいえ、いかんせん、私の頭脳の性能は残念ながら、さほど良いものではないので、(この本を読んで)どこまで本質的な理解が得られたかどうか自信がないところが辛いところです。でも、どれだけ自分の頭が悪くても、知的好奇心さえ失わなければ、得られる幸せは、みんなと同等、場合によっては、はるかに大きなものになります。そのように前向きに考えながら、もう少し、頑張ってみようと思っています。

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写真は野矢茂樹著「無限論の教室」(講談社現代文庫)。今は新装丁になっていますが、私が図書館から借りた本はこの装丁でしたので、こちらの写真を載せています。

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