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横浜の老舗のJAZZ喫茶店で石塚真一の「BLUE GIANT」を読みました [漫画を読んでいる]

六月は昨年取り切れなかった長期休暇の消化(私の勤めている会社の定めで翌年の六月までに取得するよう勧められている)のために何日か休暇を取得しました。そのうちの一日の昼間、私は横浜、野毛にあるJAZZ喫茶店「ちぐさ」で、一人ゆっくりと過ごしました。

前にも書きましたが(その時の記事はこちら→http://syoso-chunen.blog.so-net.ne.jp/2015-04-15、「ちぐさ」は、昔、日野皓正、秋吉敏子、渡辺貞夫らが通ったことで有名な、1933年開業の老舗です。第二次世界大戦中に空襲により焼失、戦後まもなく再開され、1994年に店主(吉田衛氏)が他界した後も営業を続けていたのですが、お店の場所が再開発となり、2007年に閉店、その後、2012年に有志の方々により、野毛の別の場所で、以前のスピーカー、レコード、食器等はそのまま使って再開したという歴史があります。(この部分の記述はWikipediaの「ちぐさ」の解説を参考にし、一部編集しています)

せっかくの休暇なので、お昼からビールを飲みながら、スピーカーから流れるジャズに身を任せていると、店内にジャズ関係の本と一緒に「BLUE GIANT」という漫画の単行本がまとめて置かれていることに気づきました。そういえば前回、訪れた時にもこの漫画を楽しく読んだ記憶があります。そこで、さっそく続きを読もうと、何冊かテーブルに持ってきて読み始めました。この漫画は、

宮城県仙台市に住む高校生・宮本大はまっすぐな性格の持ち主だが、将来なにをしたいのか分からず学生生活を送っていた。ある日聞いたジャズの曲に興味をひかれ、初めてのライブハウスでのジャズ演奏を目の当たりにして、サックスプレーヤーを目指す。 以上Wikipediaの解説文からの引用です)

というもので、物語では、主人公の宮本大は高校卒業後、上京して、知り合った仲間たちと一緒にトリオを組んで、プロのサックスプレーヤーを目指すことになります。この漫画、本当に面白いです。まるで本当に宮本大のサックスや仲間たちの演奏を聴いているような気になります。漫画としての表現がそれだけ優れていて、同時に作者がジャズのことを本当に好きで知っているということが分かります。そして物語では熱いとしか言いようのない若者たちのジャズへの思いがひしひしと伝わってきます。また、登場人物が良い人ばかりなのも素晴らしいですね。気持ち良く、安心して読むことができます。

お店には9巻まで置いていたのですが、10巻まであり、これは何としても10巻、そしてその続編となる主人公が渡欧してからの物語「BLUE GIANT SUPREME」を読みたいと思った次第です。

「ちぐさ」ですが、たまたまなのか、訪れた日は残念ながら音がそれほどでもなかったです。 いつもはもう少し良い音だったような気がしてなりませんでした。また、かかる曲自体は良いものが多かったものの、(敢えて言いますが)かけるレコード曲を選ぶ人があまりジャズのことを知らないのかなという気がしました。私にとって、ジャズ喫茶を訪れる楽しみの一つに、マスターの選曲を通じて、これまで知らなかった演奏者や曲を教えてもらうことがあります。名曲、名演奏をたくさん聴くのも楽しいのですが、何かバックに選曲にあたってのマスターの考えというか、主張のようなものが感じられないと、楽しみも半減してしまいます。これは果たして妥当な例えになるかは疑問ですが(泣)、高田馬場の、こちらも老舗のJAZZ喫茶店「Milestone」ではパット・メセニー(Pat Metheny 1954年~)は全然OKなのですが、リー・リトナー(Lee Ritenour 1952年~)はご法度です(私は以前、そのことをすっかり忘れてリクエストしてしまい、マスターに断られたことがあります)。

もちろん、ジャズ喫茶では基本的に客のリクエスト(リクエストがない場合はお店というかマスターの選曲)に応じて曲をかけますが、その場合でも、今、この曲がかかっているから、次はこの演奏をリクエストしてやろうという、客とマスターの間の、緊張感に満ちたかけあいのようなものが楽しいし、勉強になるのです。そういう意味では今は亡き店主の吉田氏の存在が如何に大きなものだったのかが分かります。正直、昔、「ちぐさ」に通っていた時は怖くて、リクエストなんて、私は全然、出来ませんでした…(汗)

すいません、ちょっと苦言めいたことを言ってしまいました。もちろんお店だけでなく、そこにいる(私も含めた)客の方も問題かもしれませんね。今回もリクエストではなく、(私は大好きですが)ジョー・サンプル(Joe Sample 1939~2014年)の「虹の楽園(Rainbow Seeker)」がかかったのには、まったくの偶然かもしれませんが、少し驚きました。これも前の記事で書きましたが、実は以前に訪れた時もこの盤がかかったのです。昔の「ちぐさ」でしたら、5年に一回かかるかどうか位だと思います。

話を元に戻しますが、(「ちぐさ」で読んだ)この漫画は本当に面白かったです。ジャズ好きな方なら、皆、夢中になるかと思います。もし、これまで読んだことがないようでしたら、是非読んでみてください。絶対、後悔しないことを約束します。

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石塚真一「BLUE GIANT」第一巻。


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