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最近は聴いてて元気になるジャズアルバムを聴いています [音楽を聴いている]

コロナ禍の中、3月末から始まった自宅からのテレワークも2か月を過ぎ、自室で、かなり気分的に煮詰まった毎日を送っています。2011年の東日本大震災の時もそうだったのですが、(情けない話でなんとも恥ずかしいのですが)危機的な状況を迎えると、私の頭は思考停止になってしまうというか、無意識で本能のある部分が常に覚醒しているような感じと言えば良いのか、なかなか難しいことを考えることが出来なくなってしまっているようです。本当でしたら、これを機会と捉えて、今までやりたいと思いながらできなかった勉強をしたり、難しい本にチャレンジするなんてことができれば良いのですが、私の場合、ただただ毎日を無為に過ごしてしまっています(泣)。

とはいえ、時間的には余裕があるので自室(3F屋根裏部屋)で音楽をかけたりしているのですが、最近、良く聴いているジャズ・サックスプレーヤーがフィル・ウッズ(Phil Woods 1931~2015年)とソニー・クリス(Sonny Criss 1927~1977年)です。私にとっては、どちらも40年ほど前、東京での大学浪人生活を送っていた時、まだジャズは聴き始めたばかりで、右も左も分からない頃に訪れていたジャズ喫茶店で知ったアルトサックスプレーヤーです。この二人、明るく豊かな音色と元気一杯な吹きっぷりが何と言っても魅力的で聴いているだけでなんだか楽しくなるというか嬉しくなります。これまで機会を見つけてはレコードやCDを購入したり、ジャズ喫茶店でリクエストして彼らの音楽を楽しんでいたのですが、最近になって、新しくCDを入手したこともあって、また良く聴くようになりました。

まずはフィル・ウッズですが、最近入手したCDは「LIVE FROM THE SHOWBOAT」という1976年のライブ盤(CD二枚組、国内生産限定盤 新品)です。これは本当にご機嫌なライブアルバムでして、聴いているだけで元気になります。本作を彼の最高傑作に挙げる人も多いようですが、それもさもありなんと思わせます。これまで私はその前のヨーロピアン・リズム・マシーン時代の、吹いて吹いて吹きまくる彼の演奏が好きだったのですが、そうした時代を経て、原点回帰というか、リラックスして純粋にジャズを楽しんでいる彼のこの演奏もとても素晴らしいものです。彼のアルトサックスの音色は温かく、そしてふくよかで、まさに理想の音といってよいかと思います。その上、テクニックも超一級ですので、安心して聴くことができます。彼の名前を知らない方でも、同じくアメリカのシンガーソングライターのビリー・ジョエル(Billy Joel 1949年~)の大ヒット曲「素顔のままで(Just the Way You Are)」で、バックで印象的なアルトサックスを吹いていた人といえば、分かる方もいらっしゃるのではないでしょうか(この演奏で聴く彼のアルトサックスの演奏、そしてそのサックスの音色は、それは見事なものです)。

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フィル・ウッズ「LIVE FROM THE SHOWBOAT」(CD二枚組、国内期間生産限定盤)


そして、こちらがYoutubeにアップされている「Billy Joel - Just the Way You Are (Official Audio)」

前にも述べたように、フィル・ウッズというと、元気一杯にブローするイメージが定着してしまっていますが、例えば彼の、初期の名演・名盤として知られる1957年録音の「Warm Woods」を聴くと、また彼の違った一面、腹八分目というか、リラックスして落ち着いた演奏に接することができます。これも良いアルバムですので、聴いたことのない方は一聴をお勧めします。

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フィル・ウッズ「Warm Woods」。このアルバムを私はインターネット音楽配信サービス「Spotify」で聴きました。

そしてソニー・クリスです。こちらも元気一杯のストレートな吹きっぷりが気持ちよいアルトサックス奏者です。(フィル・ウッズのように)圧倒的なテクニックを感じさせるというよりか、ジャズに対するまっすぐな気持ちをそのまま音にしたような彼の演奏スタイルには、だれもが好感を覚えるかと思います。先週の水曜日に久しぶりに外出して、渋谷の中古CD・レコードショップ「レコファン」に行ったところ、(レコードでは米オリジナル盤を持ってはいるものの)前からいつか手に入れたいと願っていた、彼のプレスティッジへの最後の吹込み(1969年録音)となる「I'll Catch The Sun!」の中古CD(国内生産限定盤)を見つけ、喜び勇んで入手した次第です。このアルバムは、ジャケット、選曲、演奏の三拍子が揃ったもので、名盤だと騒ぎ立てるようなものではありませんが、こんな比喩が良いかは別として、ジャズ喫茶店でかかると、まさにぴったりといった感じのアルバムです。

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ソニー・クリス「I'll Catch The Sun!」。本記事で紹介した3枚のCDはいずれも新品・中古で安価で入手が可能です。もし、興味を持たれたなら是非、一度聴いてみてください。お勧めですよ。

83歳の天寿を全うしたフィル・ウッズとは対照的に、ソニー・クリスは「1977年に胃がんを発病してからは二度と演奏しなかった。病苦に耐えかねた結果、同年ロサンゼルスで自殺して果てた」(以上「Wikipedia」解説文からの引用です)という、悲劇的な人生の終え方をしたのですが、二人とも、純粋にジャズという音楽を愛し、真正面からジャズに取り組み、聴いているだけで楽しくなるような、気持ちの良い、素晴らしい録音を遺したという点でとても共通するものがあります。(演奏が)深みに欠けるなどと言う方もいらっしゃるようですが、人を元気にさせる音楽なんて、そうあるものではありません。

こういうコロナ禍という気落ちしがちな毎日に、頑張ろうと活力を与えてくれるこの二人の演奏は、今の私にとって、とてもありがたく、そして大事にしたい、かけがえのないものです。

ちなみにフィル・ウッズ、そしてソニー・クリスもついて書いた過去記事は以下の通りとなります。興味のある方は読んでみてください。
「二泊三日で郡山と仙台に出張しました(2)」
 →https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2019-12-03
「ソニー・クリスは私にとって、思い入れ深いアルトサックス奏者です」
 →https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2011-02-08


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