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先々週の月曜日から金曜日まで、九州の実家に帰省しました(3) [旅をしている]

タイトルにも書いた通り、私は先々週の月曜日から金曜日まで大分の実家の方に帰省したのですが、その間、レンタカーを借りっぱなしにしていたこともあって(既に運転免許を返納した)母と一緒に、杵築市内以外にも日田や別府、豊後高田の方にも足を伸ばしました。今回はこれらの土地で食べて(飲んで)印象深かった料理や飲み物を紹介したいと思います。

まず最初にご紹介するのは1967年創業の、50年以上の歴史を誇る日田市の老舗鰻屋「戸山うなぎ屋」です。日田には母が愛用している日田醤油「天然だしの素」を買いに訪ねたのですが、その時にここで、うな重を頂きました。

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こちらが母のお勧めの日田醤油「天然だしの素」。醤油や味噌もとても美味しいです。

このお店はJR豊後三芳駅近く、三隈川沿いにあります。写真で見て頂けばお分かりのようにご飯と鰻は別で運ばれてきます、鰻は尾頭付きでヴォリュームたっぷりです。この値段(確か3千円半ば)でこの大きさの鰻は、他のお店ではなかなか食べられないのではないでしょうか。おそらく関西風に、蒸さずに焼いていると思うのですが、甘辛の田舎風のたれと共に頂くうな重はなかなか野趣あふれるものでした。初めて訪問ということあって、案配が分からずに、たれをご飯にかけ過ぎてしまい喉が渇くぐらいの塩辛さになってしまったのがとても残念でした。車でしたのでアルコールは飲めなかったのですが、このうな重を肴にビールや日本酒(熱燗)を頂いたら、さぞかし美味しかったのではないかと思います。

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こちらが日田市の老舗鰻屋「戸山うなぎ屋」のうな重。ちゃんと肝吸いが付いているところが嬉しいです。

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鰻をご飯の上に載せ、たれをかけたところ。尻尾のところを一口食べたところで写真を撮ってないことに気付き、慌てて撮ったものでして、申し訳ありません。

そして別府にある、1979年創業の老舗コーヒー専門店「グリーン・スポット」で楽しんだのが水出しコーヒーです。ここでは「琥珀の女王」と名付けられたコーヒーを飲んだのですが、水出しコーヒーの上にクリームが丁寧に分離された状態で載せられています。ここの水出しコーヒーは48時間かけているとのことで、私たちは「甘さ控えめ」でお願いしたのですが、正解だったようです。コーヒーの深い味わいを楽しむことができます。これはマジに美味しかったです。店主からは48時間もかけて水出しするのは当店だけのオリジナルと教えて頂きました。普通、12時間以上水出しするとコーヒーの雑味や油分まで抽出されてしまって味が落ちてしまうとのこと。ここまで時間をかけて、コーヒーの美味しいところだけを抽出するのが技なんですとのことですが、この味でしたら自慢するのも当然ですね。本当に美味しかったです。

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こちらが別府の老舗コーヒー専門店「グリーン・スポット」の「琥珀の女王」。この写真は食べログに載っていたものです。

そして大分滞在最終日の金曜日のお昼に母と訪れたのが、豊後高田のインド料理店「チャイハナ海花」です。ここはご自宅がそのままレストランになっていて、一日多くても二組、お任せのコースのみというレストランです。帰省する前に予約しようとお店に電話をしたのですが、火曜日から木曜日まで予約で満杯、金曜日ならなんとかということで、この日に伺いました。

杵築から国道10号線に乗って中津方面に行き、途中で国道213号に入って豊後高田を過ぎたあたりにあった、本当に小さな案内看板を頼りに向かいました。お店は本当に普通の一軒家でして、外から見る限り、ここがレストランだとはまったく分かりません。奥様から玄関を開けて家の中に招き入れて頂き、仏壇がある部屋に置かれたテーブルに腰を下ろします。まるで知り合いのご自宅に招かれているようです。

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インド料理店「チャイハナ海花」の店内の様子

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店内からみたお庭の様子

暫く待っていると料理の説明と共にスープ、そしてお料理、デザートとチャイが運ばれてきたのですが、これは本当に美味しかったです。東京でもここまでのインド料理は食べられないのではないかと思います。カレーはダール・カレー(豆のカレー)とのことで、チキンかマトンカレーを期待していた私にとっては拍子抜けだったのですが、食べるや否や、私の認識そのものが甘かったことを痛感しました。まさしくインドの家庭の味というか、豊かで優しいもので、食べているうちになんだか幸せな気分になってきます。その他の料理も何もかも美味しかったのですが、特にラッシーは絶品でした。タジマハールホテルのレストランの料理長が日本に持ち込んだヨーグルトを大切に育てているとのことで、店主は「このヨーグルトだけは自慢なんです。私の出す料理に色々な形で使われているのですよ」と謙遜しながら教えてくれたのですが、このレストランの慈悲深い味わいの秘密は、まさしくこのヨーグルトと店主の素晴らしい腕前にあると思います。

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最初に出されたスープ

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こちらがメインプレート

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こちらがダール(豆の)カレー

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こちらがチャパティ。アタ粉とヨーグルトと水と塩だけで作るそうですが、素朴ながらも味わい深いものでした。

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こちらがチャイとデザート。手前のデザートは素材はニンジンとのことでしたが、そんなことが全く分からないくらい甘くて美味しいものでした。

店主の瀬口氏は、脱サラ後、東京麹町のアジャンタや銀座のアショカでも修業された方とのこと。失礼ながら申し上げるとこんな田舎にこんな素晴らしく、そして美味しいインド料理屋(しかも、このコース料理のお値段はたしか千5百円という安さです)があるなんて、本当に奇跡のようです。また、瀬口氏とその奥様の、心尽くしの見事な接客(特に高齢の母に優しく接していただきました。また店主には丁寧に出迎えから見送りまでしていただきました。本当にありがとうございます)は、うれしく、幸せな時間を過ごすことができました。レストランでこんな素敵な時間を過ごしたのは、本当に何十年ぶりかのことです。また、先週には店主の瀬口氏からお礼の素敵な自筆の絵葉書まで頂きました。何という細やかな心遣いなのでしょうか。深く感じ入った次第です。

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こちらはお店のテーブルに置かれていた、日本全国のインド料理店を訪ね、そのシェフのインド料理人生を取材し、20数ページの文庫本におさめた「インド料理をめぐる冒険」(イートミー出版)。現在は非売品になっているようです。

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「インド料理をめぐる冒険」その8ではチャイハナ海花が取り上げられています。

こうして私たち親子は、大分の食事とコーヒーを存分に楽しみました。他にも日出のラーメン屋「暘谷亭」や蕎麦屋「虎屋」などでの食事も楽しみました。どちらも美味しかったです。


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