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先週の月曜日から金曜日まで、九州の実家に帰省しました(2) [旅をしている]

九州、大分の実家に約半年ぶりに帰省した次の日の午後、母と私は、実家と同じ杵築市内にある古楽器工房「カテリーナ古楽器研究所」を訪ねました。この古楽器工房の事を私はこれまでまったく知りませんでした。今回、帰省するにあたり、実家近くで何か興味深そうなところはないかとネットで検索しているうちに、偶然、この工房のことを知り、そのHP(→https://www.catherina1972.com)を見て、是非一度訪ねてみたいと思っていたのです。

帰省して母に、この事を話すと、母も強い関心を抱いたので、(事前に見学したい旨を電話した上で)レンタカーで一緒に向かいました。同じ市内といっても私の実家からは車で2,30分ほどはかかります。HPに記載されていた住所を頼りに、車のナビゲーションシステムを使って、何とか目的地に到着し、敷地内に車を停めました。一面の田畑がひろがる中、私の実家と同様、二階建ての古民家があり、その反対側には工房と思しき、同じく木造の平屋の建物が見えます。母と車を降り、キョロキョロと辺りを見回しているといると、若い工房の主人が出迎えてくれました。慌てて挨拶をすると、落ち着いた雰囲気の、感じの良さそうな主人が工房へと案内してくれました。

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控え目に置かれていた「カテリーナ古楽器研究所」の看板

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こちらは母屋のようです。

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そしてこちらが工房。

この日は天気も良く、とても清々しい風が吹いています。まるでここは同じ日本ではないような気がします。陳腐な比喩ながら、まるでジブリの映画に出てくる田園風景の一場面のようです。高揚した気分のまま、建物の中に入ると入ってすぐの棚の上に何枚かのCDが置かれています。なんだろうと良く見てみると、私の大好きな日本を代表するリュート奏者、佐藤豊彦氏の「せせらぎ」と題されたフランスバロックのシャコンヌ集でした。その後、工房の主と佐藤氏との意外な関係など、思いもかけない話を聞き、私の興味はいやが上にも高まりました。

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工房内の様子(その1)

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工房内の様子(その2)。台の上に置かれているのはシトル(中世ギター)でしょうか?

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工房内の様子(その3)。机の上には制作中のポルタティフオルガン(オルガネット)が置かれています。

そして、この工房の主である松本さんから、工房の歴史や古楽器制作についての色々なお話を伺いました。私にとっては見るもの何もかもが珍しく、脈絡もなく、思いつくままに松本さんに色々と質問してしまったのですが、とても丁寧に答えて頂いているうちに、私も何とか落ち着きを取り戻し、ゆっくりと工房の中を見渡すことが出来るようになりました。すると工房の入り口近くに、松本さんが制作した何台かの見慣れない楽器が置かれています。そのうちの一つを指して、これはどういうものか訊いてみると「サルタリー(psaltery)」と呼ばれる、木箱に複数の弦が張られた、とてもシンプルな楽器とのこと。指版はなく、開放弦のまま、これらの弦をはじいたり、弓でこすったり(場合によっては叩いたり)して鳴らして音を出すそうで、二本の弓を使えば和音も出すことができます。それにしても、なんて美しい音色なのでしょう。その何とも典雅で神秘的な響きに私は一気に魅了されました。

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工房入口付近に置かれていた松本氏制作の古楽器。少しわかりずらいかとは思いますが、中央にある、三角形の楽器が本文でも紹介したサルタリーです。その下にも台形型のサルタリーがありますが、こちらは弓は使わず、指や鳥の羽根の根本ではじいて音を出すものとなります。

もう、かれこれ30分以上、母と二人で工房に居座っています。まだまだ興味は尽きないのですが、これ以上、松本さんのご迷惑になってはと思い、おいとますることにしました。車に乗り込んでも、まだ私の頭の中は、先ほど聴いたサルタリーの妙なる音が鳴り続けています。まるで夢のような時間を過ごさせていただきました(続く)。

(2021年4月22日追記)
この記事の続きは以下のリンク先でとなりますので、是非読んでみてください。
「先週の月曜日から金曜日まで、九州の実家に帰省しました(5)」
 →https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2021-04-22


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