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マーセル・セロー著「極北」を読み終えました [本を読んでいる]

先週、自室でイギリスの作家、マーセル・セロー(Marcel Theroux 1968年 - )著「極北」(村上春樹訳 中央公論新社)を読み終えました。著者のマーセル・セローの父は作家のポール・セロー、弟はTVドキュメンタリー製作者のルイス・セローといった具合に、とても才能豊かな一家のようです。この本は、アマゾンのサイトを見ていた時に「この商品に関連する商品」として紹介されていて興味を持ち、図書館から借りたものです。内容は世界の終末を迎えつつある中、シベリアの寒村にたった一人で生き延びている女性、メイクピースを主人公としたディストピア小説です。

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マーセル・セロー著「極北」(中公文庫)

こんなことを申し上げるのはかなり憚られるのですが、余り期待していなかった割には、私は一気に、この小説世界に引き込まれ、そして(これも語弊がありそうですが)とても面白く読みました。ただ、物語の終わり近くになって、前半部分の色々な伏線が回収されるのですが、回収されるたびに小説のスケールが少し小さくなってしまっているように感じられました。また、後編部分で生じた謎は解き明かされず、そのままになってしまっています。そうしたところが少し残念だと思いました。私の読み方が浅かったのか、または勝手に、この小説に象徴性のようなものを求めていたせいなのかも知れません。読まれた方の忌憚のない意見を知りたいです。


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