SSブログ

アメリカのジャズピアニスト、ビル・エバンスのCD「Time Remembered」を聴きました [私の好きなピアニスト]

少し前の話になってしまって恐縮ですが、先月病院に行った帰りに立ち寄った横浜中華街のジャズ喫茶「マシュマロ」で聴き、とても感銘を受けた演奏が、アメリカのジャズピアニスト、ビル・エバンス(Bill Evans 1929~1980)がソロで弾いた「Danny Boy」です。この初めて聴く、尋常とはいえない、孤独な魂の発露そのもののような演奏には本当に驚かされ、心を強く打たれました。

帰宅して、慌ててこの演奏が収められたアルバムを探すと「Time Remembered」だと分かりました。恥ずかしながら、私にとっては初めて聴くアルバム名です。さっそくインターネット音楽配信サービス「Spotify」で聴きながら調べてみたところ、「Danny Boy」から始まる5曲がピアノソロ、そして残りの8曲はピアノトリオでの演奏でして、最初の4曲が1962年、5曲目の「Some Other Time」が1958年、そしてピアノトリオによる演奏は1963年のライブアルバム「At Shelly's Manne-Hole」に収録しきれなかったものとのことでした。

41RvhDrho4L._AC_.jpg
ビル・エバンス「Time Remembered」(CD)

特に最初のソロの5曲はビル・エバンス本人が気に入らずに80年代までオクラになっていたものとのことですが、特に最初の4曲はさもありなんと思わせるものです。それは演奏が良くないということではまったくなく、あまりにも私的な演奏のため、世間に出すのは憚られたのではという意味でです。しかし、何という演奏なのでしょう。最高のパートナーと目された天才ベーシスト、スコット・ラファロ(Scott LaFaro 1936~1961年)を突然の交通事故で失い、失意のどん底に陥った一人のジャズピアニストの、ボロボロになってしまった心の呟きがそのまま出てしまったような、そんな印象を受けます。聴いているだけで涙がこぼれてしまいそうです。

しかし、これまでビル・エバンスが好きだと公言しておきながら、これらの演奏をこれまで全く知らなかったのは、とても恥ずかしいというか、ダメですね、私は。深く恥じ入った次第です。

「Spotify」で聴くだけでは我慢できなくなった私は、結局、このアルバムのCD(輸入盤)をネットで注文、先週、やっと手元に届きました(私は古い人間で、気に入った録音は手元に置いておきたくなるタイプなのです…トホホッ)。ただ、音質が「Spotify」で聴くものと微妙に違うような気がします(CDの方がピアノの音がアーシーに聴こえます)。リマスターの差なのでしょうか? とにかく、このCDは私の宝物になりました。


こちらがYoutubeにアップされている「Jazz Piano - Bill Evans - Time Remembered [ Full Album ]」。こちらも私の持っているCDの音とは雰囲気が少し違うような気がします。


共通テーマ:日記・雑感