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今日の朝、私はイ・ムジチの演奏するバッハのヴァイオリン協奏曲集を聴きました [音楽を聴いている]

今日の朝、通勤電車の中で私はイ・ムジチ(フェリックス・アーヨ、ロベルト・ミケルッチ)の演奏する、バッハのヴァイオリン協奏曲集を聴きました。バッハのヴァイオリン協奏曲(1番、2番と2台のための協奏曲)はいずれも私の大好きな曲で、これまで、シェリング、グリュミオー、クイケン、デ・ヴィート&メニューイン、クレーメル等々、色々な演奏を聴いてきましたが、私にとっては、やはり、中庸かつ格調高いオイストラフの演奏(DG盤)がデフォルトとなっています。今日聴いたイ・ムジチの演奏は、バウムガルトナー指揮ルツェルン音楽祭弦楽合奏団をバックに従えたフランチェスカッティの演奏にも似た、テンポをゆっくりとった(多分、出ている録音の中では一番遅い演奏かと思います)もので、ヴィヴァルディの流れを受け継いだバッハの「歌」を最大限に強調した、とても柔らかく、そして流麗な演奏です。そこに聴くことができるのは、弦楽の奏でる、極致とも言える、美しいアンサンブルで、ヴァイオリン協奏曲というより、合奏協奏曲といった感じの演奏となっています。
もう、今ではこうした、モダン・ヴァイオリンの響き、アンサンブルの美しさを強調したバロック音楽の演奏はあまり聴くことはできませんが、なんとも、どこか懐かしく、趣のあるものです。前にも書きましたが、イ・ムジチといえば、なんと言ってもヴィヴァルディ(Antonio Lucio Vivaldi 1678~1741年)の、「四季」を始めとする演奏が有名ですが、それ以外でも、コレッリ(Arcangelo Corelli 1653~1713年)やトレッリ(Giuseppe Torelli 1658~1709年)、それに続くアルビノーニ(Tomaso Giovanni Albinoni 1671~1751年)、ボンポルティ(Francesco Antonio Bonporti 1672~1749年)やジェミニアーニ(Francesco Geminiani 1687~1762年)、ロカテッリ(Pietro Antonio Locatelli 1695~1764年)といった、イタリアバロック音楽の演奏は、今聴いても、本当にため息がでるほど美しく、私にとって、とても大切なものです。音源としては、その殆どがLPになりますが、CDでも入手することができます。
このうち、イタリアバロックを代表する名曲であるコレッリの合奏協奏曲集作品6(全12曲)については、イ・ムジチは、これまで2回ほど録音しており、どちらもCD化されていますが、アーヨが参加した最初の録音(CDは以前、欧フィリップスから2枚組の廉価盤として発売されました。今は廃盤となっていますが、丹念に探せば中古盤を手に入れることができます)は、今日聴いたバッハのヴァイオリン協奏曲と同様、とことん歌いぬかれた、まさに美麗という言葉がぴったりのもので、私の愛聴盤となっています。
アーヨの演奏となりますと、余り知られてはいないようですが、バッハの無伴奏(ソナタ・パルティータ)は隠れた名演だと思います。機会があったら、是非一度聴いてみてください。アーヨ、ミケルッチ、そしてアッカルドやジョコンダ・デ・ヴィートにしても、イタリア人の弾くヴァイオリンにはいつも「歌」、カンタービレを感じます。そこが他の国のヴァイオリニストには異なる、最大の魅力となっていると思います。
今日の朝、私はヴァイオリンの奏でる「歌」を思いっきり楽しむことができました。

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写真はイ・ムジチ「コレッリ合奏協奏曲集 作品6」(LP)

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こちらはフェリックス・アーヨ「バッハ 無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ」。このCDのジャケットはアーヨの弾く無伴奏の雰囲気をうまくあらわしていると思います。(CD)

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そして、これがイ・ムジチ「トレッリ 合奏協奏曲集」(CD)。こちらは1992年の新録音盤ですが、とてもしなやかで美しい、モダン・ヴァイオリンによる演奏で、私のお気入りのCDです。こちらも今は廃盤のようですが、比較的入手は容易です。また、ミケルッチが1957年に録音した旧盤はitunesで聴くことができるようです。

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