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昨夜、蒲田のジャズバーで素敵なレコードと出会いました [音楽を聴いている]

昨夜、久しぶりに蒲田のジャズバーを訪れました。このお店は、もう、かれこれ十年以上、通っているお店です。今のマスターは二代目となるのですが、昔の雰囲気のまま(調度品等、一切の変更もなく)営業を続けている、私にとって誰にも教えたくない「秘密の隠れ家」です。

骨董品のようなトランジスタレシーバーとスピーカーから流れる、なんとも温かみのあるLPの音を楽しみながら、ウィスキーの水割りを飲んでいると、何とも懐かしいフリューゲルホルンの音と共に素晴らしいジャズが流れてきました。思わず頭をあげて演奏中のレコードを確認すると、白地の背景に横倒しになったカップからコーヒーが流れている様子をあしらった素敵なデザインのジャケットが目に飛び込んできました。これは多分、欧米人ではなく、日本人のデザインですね。

こうして、今回、初めて聴いたアルバムがアート・ファーマー(Art Farmer 1928~1999年)が1975年に日本のジャズレーベルEast Windに録音した「Yesterday's Thought」です。以前、私の愛聴盤として、同じレーベルから出された「思い出の夏(The Summer Knows)」(1976年録音)を紹介したこと(http://syoso-chunen.blog.so-net.ne.jp/2011-05-09)がありますが、その一年前にこんなLPを出していたのですね。私はまったく知りませんでした。選曲や雰囲気はまったく「思い出の夏」と同様で、控え目ながらも情感に溢れた、まさしく日本人好みのソフトなジャズアルバムです。

いやあ、良いです。これ。僕の好みにぴったりです。シダー・ウォルトンのピアノソロも素晴らしいですね。調べてみると、アート・ファーマーはEast Windに三枚の録音を遺していて、後の一枚は1975年の「To Duke With Love」という、デューク・エリントンの追悼盤です。また、「Yesterday's Thought」のジャケットデザインはやはり日本人デザイナー、石岡瑛子さんによるものでした。

秋の夜長に、アート・ファーマーの落ち着いたフリューゲルホルンの音はピッタリですね。思いもかけず、素晴らしい時を過ごすことができました。

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写真はアート・ファーマー「Yesterday's Thought」(CD)。石岡瑛子さん(1939~2012年)はマイルス・デイヴィスの「TUTU」のジャケットデザイン(グラミー賞受賞)を手掛けたことでも有名な方です。

(2020年5月8日追記)
この記事を書いた後、すぐに「Yesterday's Thought」のレコード(残念ながらジャケットは少し汚れています)を入手しました。久しぶりに今日の夜、自室で本アルバムを聴いてみたのですがやはり良いアルバムだと感心した次第です。


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