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レアード・ハント の「ネバーホーム」を読み終えました [本を読んでいる]

先週のことになりますが、金沢への出張帰りの車内で、米国の作家レアード・ハント(Laird Hunt 1968年~) の「ネバーホーム(原題「Neverhome」)を読み終えました。私は彼の作品は「インディアナ、インディアナ」「優しい鬼」と読み、今回が三作目となります。

ちなみに過去、彼の作品について書いた記事はこちらです。
「会社へ向かう通勤電車の中で、レアード・ハントの「優しい鬼」を読み終えました」
 →https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2017-04-25
「実家からの帰りの機内でレアード・ハントの「インディアナ、インディアナ」を読み終えました」
 →https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2017-05-30
「通勤電車の中で「ヴァルザーの詩と小品」を読み終えました」
 →https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2017-06-16

この柴田元幸氏による邦訳は2017年12月に出ていたのですが、私は、今頃になってこの本のことを知り、慌てて図書館から借りて読んだ次第です。内容は、

南北戦争がはじまって、インディアナの農場で暮らしていたコンスタンスは夫のバーソロミューに代わって、北軍への入隊を決意する。名前をアッシュとかえて、男性の格好をして。 女性にやさしい「伊達男アッシュ」とも呼ばれ、勇敢に戦い続ける。女であることがばれないかとおびえながら、野営地ですごし戦闘と行軍をくりかえす。夫と手紙のやりとりをし、亡くなった母と語り合う。
従軍した彼女は何がこわかったのか?
戦争は彼女をどのように変えたのか?
故郷にもどった彼女を待ちうけていたものは?
訥々とした女語りの雄弁さ、死と痛みに浸された世界、色彩たっぷりの自然描写、静かで容赦ない声。
(以上「Amazon」商品の説明「内容紹介」からの引用です。元の文章はところどころ改行がなされているのですが、一部省略しています)

というもので、これまでの二作に劣らない素晴らしさで私を喜ばせました。私はこの作品を読んでいるあいだ、まるで「詩」を読んでいるような気分になりました。昇華された文学性といえば良いのでしょうか?象徴性というか神話性を感じます。あっと驚くその結末については読者の解釈に委ねられているということなのでしょうか、まさに現代アメリカ文学です。

これからも彼の作品(それもできれば柴田氏の訳で)を読んでみたいです。本当に素晴らしい作家だと思います。マジでお勧めですよ。

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レアード・ハント「ネバーホーム」(朝日新聞出版)


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