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小川洋子の「ことり」を読み終えました [本を読んでいる]

今日、会社の執務室で小川洋子(おがわ ようこ 1962年~)が2012年に発表した小説「ことり」を読み終えました。この文庫本は、この週末に訪れた近くのショッピングモール内の本屋さんで平積みされているのを見つけて買いました。普段、私は(自分で読む)本は、基本的に図書館から借りて読むようにしているのですが、小川洋子さんは家内と長女が大好きな作家でして、二人ともこの本を読んでいないことから(二人が後で読むのならと思い)購入したものです。

小川洋子さんの本を読むのは、本にまつわるエッセイ集である「博士の本棚」以来、ほぼ9年ぶりとなります(その時の記事はこちら→https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2010-07-22。久しぶりの彼女の著作なのですが、読み始めるとすんなりと小川洋子ワールドに没頭することができました。彼女の文章はとても読みやすいですね。読みやすくて深みがある文章が書けるということは、それこそ作家としての類まれな力量の証かと思います。この作品は

人間の言葉は話せないけれど、小鳥のさえずりを理解する兄と、兄の言葉を唯一わかる弟。二人は支えあってひっそりと生きていく。やがて兄は亡くなり、弟は「小鳥の小父さん」と人々に呼ばれて…。慎み深い兄弟の一生を描く、優しく切ない、著者の会心作。(Amazon「内容紹介」からの引用)

です。「小鳥と独特の関係を取り結んだ一人の男の生涯が、この作家らしい、哀しみを湛えた優しく端正な文章で辿り直されていく(以上、文庫本、小野正嗣氏「解説」からの引用)」ます。一見、静謐な世界のようでありながら、様々な、とても深いドラマが展開されています。

私は実は小川洋子さんの著作は、先に述べた「博士の本棚」と「博士の愛した数式」以外は読んでいないので、これから折を見つけて他の小説も読んでみたいです。そういえば、私は前から「猫を抱いて象と泳ぐ」は読んでみたいと思っていました。慌てて、先ほど図書館に貸出予約をしたところです。ちょっと切ない、マージナルな市井の人々のお話を書かせたら、この作家が一番かと思います。心に沁みる、余韻のある読後感を得ることができました。ありがとうございました。

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小川洋子「ことり」(朝日文庫)


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