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佐川恭一著「アドルムコ会全史」を読み終えました [本を読んでいる]

先ほど、会社の執務室で、佐川恭一著「アドルムコ会全史」を読み終えました。この本はネットで古本を安く手に入れたものでして、中編小説となる「アドルムコ会全史」「パラダイス・シティ」「ブライアンズタイム」、短編小説「キムタク」そしてショートショートの「夏の日のリフレイン」が収められています(前回、佐川恭一著「シン・サークルクラッシャー麻紀」を読んだ時の記事はこちら→https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2023-09-03

安月給の工場で働く男がかつて自ら考案したデタラメな宗教に翻弄されていく「アドルムコ会全史」、個人の幸福度を計測できるようになった社会の公務員たちの働きぶりを描く「パラダイス・シティ」、ひとりではガールズバーにもいけない小心者の男の心の内面を描く「ブライアンズタイム」の書き下ろし長編、他短編2編を収録。荒唐無稽な展開と不謹慎な冗談が固定観念を壊してくれると同時に心の暗部を照射する。
(以上、出版元「代わりに読む人」HPにおける佐川恭一著「アドルムコ会全史」紹介文からの引用です)

正直、なかなかキツい小説ばかりで読んでて辛くなります。と言っても、内容が難解だとか読みにくいとかいうのではなく(逆にとても読みやすく、テンポよく読むことが出来ます)、登場人物たちの考えや行動が、あまりに人間的というか卑俗的で、彼らの織り成すドタバタ人生劇が、読んでる私自身の色々な嫌なところを拡大して見せられているような気分になるからです。

「パラダイス・シティ」「ブライアンズタイム」では、多くの登場人物が出てくるのですが、それぞれが様々な意味で俗悪的なキャラクターとして描き分けられれていて、それらが絡み合いながら、悲劇的ともいえるストーリーをテンポ良く成していく様は、本当に刺激的です。

一方、「アドルムコ会全史」は、何とも奇想天外なストーリーなのですが、何故か違和感なく、その小説世界に引き込まれました。とてもポップなように見えて、実際はディープな物語です。このような小説を書く著者の才能には驚嘆させられました。

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佐川恭一著「アドルムコ会全史」(代わりに読む人)

9月21日には彼の最新本「ゼッタイ! 芥川賞受賞宣言-~新感覚文豪ゲームブック~」が発売されるようです。どんな本なのか、まったく見当もつかないのですが(本当にゲームブックかどうかも分かりません)、発売日に本屋で手に取ってみようと思っています。私にとって佐川恭一氏は、今、一番注目している日本人作家です。


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