SSブログ

リヒテルが1991年に遺したバッハの諸作品の録音について(3)  [私の好きなピアニスト]

前々回、そして前回の記事で「リヒテルが1991年に遺したバッハの諸作品の録音について」と題した記事を投稿しておりますが、今回はフィリップス盤、ストラディバリウス盤に続いて、Live Classicsやその他のレーベルから出ているものについてご紹介したいと思います。

Live Classicsからは、1991年11月2日のオランダと同年5月22日、7月1日のモスクワ、チャイコフスキー・コンサートホールでのライブ音源がCD2枚に纏められています。オランダでのライブからはソナタ(BMV963)、トッカータ第1番、カプッチョ(BMV993)、四つのデュエット、イタリア協奏曲とファンタジア、モスクワでのライブからはカプッチョ(BMV992)とフランス組曲第2、4、6番の演奏が収録されていて、これらは録音状態も良いもので、ライブならではの緊張感に満ちた、素晴らしい演奏です。特にフランス組曲の方は聴き進めるほどに、どんどん気分が高まってくるような演奏となっていて、強い感動を覚えるものとなっています。

IMG_0977.jpg
こちらがLive Classics盤(CD2枚)

これとは別にGREAT HALLというレーベルからは1991年5月20日のモスクワ、チャイコフスキー・コンサートホールでのライブから、イギリス組曲第1, 3, 4, 6番がCD2枚に纏められて発売されているのですが、こちらは何故か残響が少なく、デッドな感じの録音となっていて状態があまり良くないので(私はこの演奏をインターネット音楽配信サービス「Spotify」で聴きました)、こちらを聴くよりフィリップス盤、ストラディバリウス盤での同曲の演奏の方がはるかに聴きやすく、良いかと思います。

51OcKYa5PmL._AC_.jpg
こちらがGREAT HALL盤(CD2枚組)

以上が私が知る限りのリヒテルが1991年に遺したバッハの諸作品の録音となります。晩年のリヒテルのバッハ演奏は、なんと言えばよいのか「神性」ともいうべきものに満ちた素晴らしいものばかりです。これらは人類の貴重な芸術遺産として長く伝えられるべきものだと思います。


共通テーマ:日記・雑感