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今頃になって、マリア・ティーポというイタリアの女性ピアニストを知りました(2) [私の好きなピアニスト]

以前、イタリアの女性ピアニスト、マリア・ティーポ(Maria Tipo 1931年~)のライブCDに深く感動し、ショパンのバラード全曲が収録されたCDも入手、その豊かな才能とテクニックを再確認したことを書きましたが(その時の記事はこちら→https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2020-06-29、その後も彼女の録音をよく聴いています。

先日、ネットオークションで彼女のバッハの録音を集めたCD5枚組を運よく落札することができました。このCDセットには六つのパルティータとゴルトベルク変奏曲、そしてブゾーニ(Ferruccio Busoni 1866~1924年)の編曲集やその他小曲集が収められています。このうちパルティータとゴルトベルク変奏曲については、既にインターネット音楽配信サービス「Spotify」で聴いていましたが、こうしてCDでじっくり聴いてみるとますます、彼女の明るく骨太で豊かな音楽性に魅了されます(私は未だに音楽はCD聴取が中心の、古い人間なのです)。どちらも(グレン・グールドが行ったアプローチとは正反対の意味において)ピアノ演奏の一つの決定盤といって良いかと思います。

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マリア・ティーポ「Bach: Works for Piano」(CD5枚組)

前にも書きましたが、彼女の演奏は、ピアノという楽器の持つ能力をフルに発揮させたものでして、それを支えるのは高いテクニックです。これらバッハの演奏においても同様でして、濃密といってもよいピアノ音楽の世界が繰り広げられています。そして、これらのバッハ演奏の中でも注目すべきはブゾーニ(Ferruccio Busoni 1866~1924年)のバッハ編曲を集めた一枚です。というのも、彼女の母エルシリア・カヴァッロはブゾーニの弟子でして、マリア・ティーポはこの母からピアノの手解きを受けていますので、彼女はブゾーニ直系の孫弟子ということになるからです。

彼女のブゾーニのバッハ編曲集の演奏を一言でいえば、ロマンティックという言葉がぴったりかと思います。それはとても純度が高く、そして密度の濃いものでして、さらっと聴き流す訳にはいかないものです。いやあ、なかなか、こういう演奏には出会えないものです。貴重な音楽体験を得ることができました。

このCD5枚組は、私の宝物となりました。それ以外にも彼女のショパンのノクターンやモーツァルトの協奏曲の演奏をCDや音楽配信サービスで楽しんでいます。本当に魅力的なピアニストです。


こちらはYoutubeにアップされている「Johann Sebastian Bach, Maria Tipo plays the Ferruccio Busoni Transcriptions」


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