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先々週の月曜日から金曜日まで、九州の実家に帰省しました(5)  [旅をしている]

本記事は「先週の月曜日から金曜日まで、九州の実家に帰省しました(2)」の続きとなります。もし、読んで頂けるのでしたら、是非、こちらからお読みください。

「先週の月曜日から金曜日まで、九州の実家に帰省しました(2)」
 →https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2021-04-16

カテリーナ古楽器研究所でサルタリー(psaltery)のことを知ってからと言うもの、実家に戻ってからも、あの楽器のことが気になってしまってしょうがありません。木の箱に複数の弦が張られただけというシンプルな構造ですが、弦を弓でこすったり、はじいたり、(棒で)叩いたりという多様な演奏方法が可能です。そしてなんと言っても音色の美しさはこの楽器の大きな魅力です。それも開放弦を鳴らしているだけなので、どんな人でも簡単に美しい音を出すことができるところが本当に素晴らしいです。

少し話が逸れますが、古楽器工房でサルタリーのこの美しい音に接したときに一つ気づいたことがあります。私は幼いころから小学校4年くらいまで、母のもとでピアノを習わされられていました(その後、小学5年から高校生くらいまでは外部の先生にフルートを習いました)。そうしたこともあり、最近、またピアノを始めてみようと屋根裏部屋に姉から貰った電子ピアノを持ち込み、練習を再開しようとしたことがあります。ところが最初の意気込みにもかかわらず、一度電子ピアノを弾いたくらいで、私はその後、二度とこの楽器に触れる気にはなりませんでした。また、いつもの私の、どうしようもなく怠惰な性格のせいだと思っていたのですが、今回、それが電子ピアノの「音」のせいだったかも知れないということに気づきました。私にとっては、この電子ピアノの「音」が美しいとはまったく感じられなかったからです。

言い訳めいているように聞こえるかもしれませんが、楽器である以上、そもそも、その音が美しくなければ楽器とは言えないと思います。ただ、ピアノやヴァイオリン、そしてフルートにしても、長い間(少なくとも10年以上)絶え間なく練習を繰り返し技術を磨かないと美しい音を出すことはできません。当然のことですが、誰でもストラディバリウスのヴァイオリンを弾けば、あの美しい音をだせる訳ではないのです。その点、このサルタリーは(繰り返しになりますが)誰でも簡単に美しい音を出すことができます。そこに私は一番の魅力を感じたのです(その分、構造が簡単な分だけ複雑で早いパッセージや三音以上の和音を奏でることは難しいと思われます)。

インターネットで色々と調べて見ると(日本ではスペルのまま「プサルタリー」と表記している場合が多いです)サルタリーはキットなども販売されているようです。Youtubeでも何本か、サルタリーの実演を聴くことができます。しかし、こうした動画で聴くサルタリーの音の多くは、あの工房で聴いた楽器の音と比べると(失礼ながら)遥かに劣るような気がします。松本さんが製作した、あのサルタリーの音が、私にとって特別なものなのです。

松本さんの工房で作られる古楽器の中では、サルタリー(特にボウド・サルタリー)は安価な楽器という事なのですが、それでも私のポケットマネーでひょいと払えるような金額ではありません。私にとっては大金になります。三日三晩考えた末、大分の実家への帰省の最終日となる金曜日に、私はもう一度、母と一緒にカテリーナ古楽器研究所を訪れました。そして、もう一度楽器を見せてもらい、使用している木材や楽器の構造についての説明を受けた後、意を決して松本さんにサルタリーの製作をお願いしました。サルタリーと二本の弓、そして楽器を収めるハードケースをこれから作ってもらうことになります。

こうして、とうとう私は還暦間近にして「私のための、私自身の楽器」を手に入れることとなりました。松本さんからは「思ったより早くできるかも知れません」との嬉しい言葉を頂きましたが、一体、いつ頃できるのかは分かりません。できれば来年二月の、還暦となる日までには手に入れられればと願っています。

実は私は、母から(サルタリーを知ってから)ずっと、あの楽器を買ってみたら良いのにとの「悪魔の囁き」を受けていました。母は、自身がピアノを弾きそして教え(今でも毎日三時間は練習するそうです)、娘(私にとっては姉)が芸大に行き、ピアノの道に進んだこともあって(姉は今、チェンバロも練習しています)、息子(私)が専ら音楽鑑賞といった、どちらかというと「受け身」の趣味ばかりで、自らが能動的・主体的に行うようなもの、例えば楽器を演奏するといった趣味を持っていないことを心配していたようです。これから楽器を始めるにしても、最低でも60歳までに始めないと、最低限のレベルにすらならないだろうと思って(これは私も同意見です)勧めたようで、今回の私の楽器購入を(経済的な面で心配はしつつも)喜んでくれました。

サルタリーでどんな曲を演奏してみようかと、今からリストに書き出してはニヤニヤしています。アルヴォ・ペルト(Arvo Part 1935~)の曲やビーバー(Biber 1644〜1704年)の「ロザリオのソナタ」などが弾けたら最高ですね。(人に聴かせるのではなく)自分のためだけの楽器なので、どんなに下手でも喜んで練習し続けることができるような気がします。これからの私の人生の大きな楽しみになることを願っています。

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こちらは本文とはまったく関係ありませんが、大分の実家近くのマンホールの写真。おわかりのように「カブトガニ」がモチーフとなっています。杵築市、八坂川下流域の干潟は全国的にも珍しいカブトガニの生息地として知られています。

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一方、こちらは同じく実家近くにあるマンホール。何と福岡県太宰府市のものです。モチーフは太宰府天満宮の神木として知られる梅の木である「飛び梅」でして、これはかなり古いもののようですが、何故、太宰府市のマンホールがここにあるかは不明です。

ちなみに出来上がったサルタリーが家に届いたときの記事はこちらとなります。興味のある方はぜひ、御覧ください。

「昨年4月に製作をお願いしていた古楽器、サルタリーがとうとう自宅に届きました」
https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2022-01-15


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