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白土三平氏の訃報に接して [漫画を読んでいる]

10月以降、著名人の方々の訃報に接する機会が増えてきたように感じていましたが、その中でも驚かされたのが漫画家白土三平氏が亡くなったことでした。

白土三平は私にとって特別な漫画家の一人です。幼少期にテレビで観た「少年忍者 風のフジ丸」「サスケ」に始まり、小学校高学年から中学高校生時代に漫画で読んだ「サスケ」「忍者武芸帳」、大学生になってから夢中になって読んだ「カムイ伝」「カムイ外伝」といった、これら、彼の代表作は常に刺激的な漫画体験を私に与えてくれました(以前、私が白土三平のことを書いた記事はこちら→https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2015-05-29

これらの作品を読んで、私は色々なことを学びましたが、その中でも一番は、歴史は教科書で学ぶような通り一遍のものではなく、その裏には隠れた様々な民の物語があり、物語が存在するということでした。彼の作品が(もちろんフィクションであるものの)圧倒的な実在感を持っているのは、彼自身が持っていた、そうした歴史の裏に隠れた人々、そして生と死に対する真摯で直截な眼差しにあるのではないかと思います。

子供ながらにも、彼のマンガは大人向けで、反体制的でプロレタリアートな雰囲気があって、読んでいるのを親に見つかるのはマズイんじゃないかといった気がしていました(苦笑)。今、そうした雰囲気を持った漫画家なんて、どこにもいないような気がします。そうした意味においては、漫画の一つの時代の終焉を感じさせる訃報でした。もう一度、機会を見つけて、彼の作品を読み直してみようかと思います。

彼は、私のものの考え方に大きな影響を与えた漫画家でした。謹んでご冥福をお祈りいたします。

尚、「カムイ伝」については、インターネットサイト「松岡正剛の千夜千冊」において、見事な書評が掲載されています。興味のある方は一読をお勧めします。
https://1000ya.isis.ne.jp/1139.html

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「カムイ伝」は1964年から1971年にわたって、漫画雑誌「ガロ」にその第一部が連載されました。元々「ガロ」はこの「カムイ伝」のための雑誌として創刊されたものです。これも私事になりますが、大学生時代に友人と共に神保町の「ガロ」編集部を訪ねた時のことが、つい先日のことのように思い出されます。


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