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仙台で購入したジャズ喫茶店案内の雑誌二誌について [本を読んでいる]

前の記事で、仙台に出張した時に、業務の合間に入った本屋さんで「ジャズと喫茶とオーディオ」(音楽の友社)と東北のジャズ喫茶店の案内本である「GATEWAY TO JAZZ KISSA VOL.1」の二冊の雑誌を購入したことを書きましたが、今回はこれらの雑誌について簡単に紹介したいと思います。

まず一冊目は「ジャズと喫茶とオーディオ」(音楽の友社)です。この本については以前、横浜の本屋さんで見つけ、迷ったすえに結局、購入しませんでした。その後、やはり買っておけば良かったと後悔しきりだったところ、今回、出張中に偶然見つけ、慌てて購入した次第です。表紙は今は亡き東京 高田馬場のジャズ喫茶店「Milestone」の店外から覗いた、マスターの織戸氏の写真です、以前、記事で書いたように「Milestone」は私にとって、大学生の頃からお世話になっていたお店です(そのことを書いた記事はこちら→https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2019-08-30。その思い出もあって、この雑誌は手元に持っておきたいと思うようになりました。内容は、

「ジャズ批評」誌に2011年から田中伊佐資氏が連載している「アナログ・オーディオ ふらふらめぐり」のMOOK化。レコードを愛し、レコードをかけ続けているジャズ喫茶(カフェ、バー)約40店にスポットを当てた探訪記。店主が歩んできたこれまでの音楽人生、開店の動機や経緯、店のポリシー、オーディオやレコード・サウンドに対するこだわりを田中氏がリポートする。
写真は店内の様子はもちろん、お客さんが触れないオーディオやレコード・ジャケットにもクローズアップ。1店につき4ページで構成し、ジャズ、オーディオ、レコードなどが入り交じった立体的な展開は、まさにファンの心をジャストミートでくすぐる。ロングセラーを続けるONTOMO MOOK「音の見える部屋」がオーディオ・マニア編なら、本書はジャズ・スポット編!
(以上「Amazon」の内容紹介からの引用です)

というもので、本書には番外編で紹介されている一関市の「ベイシー」を含め(私が「ベイシー」を訪れた時の記事はこちら→https://syoso-chunen.blog.ss-blog.jp/2019-12-0537店のジャズ喫茶店(バー)が紹介されています。特筆すべきはただジャズ喫茶を紹介しているのではなく、それぞれの店主のジャズとオーディオに対する思いを、筆者の店主へのインタビューを通じてかなり詳しく知ることができる点です。読み物として面白いところがが良いですね。また写真も多く掲載されていて、見ているだけで楽しくなります。

私がまだ行ったこともないジャズ喫茶店も多く紹介されていて、興味を沸きたてられます。逆に、先に述べた「Milestone」や同じく東京 蒲田の「直立猿人」といった、もう数え切れないほど通った(ている)お店も紹介されていています。数えてみると37店中、10店ほどは(私が)行ったことがあるお店でした。とても面白いムック本です。お勧めですよ。

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「ジャズと喫茶とオーディオ」(音楽の友社)

そしてもう一冊は東北のジャズ喫茶店の案内本である「GATEWAY TO JAZZ KISSA VOL.1」です。内容は、

全国屈指の名店や個性豊かな店が点在し、ジャズ喫茶巡りの醍醐味が味わえるエリア、東北。創刊号では、そのなかから東日本大震災という大災厄を乗り越えて営業を続けるそれぞれのジャズ喫茶の「いま」を、この2018年夏の取材をもとにお届けします。
(「JAZZ CITY.STORE」HPの紹介本文からの引用です)

というもので、発行は2018年11月25日となっていました。この45頁ほどの小冊子では岩手 陸前高田の「ジャズタイムジョニー」、宮城 気仙沼の「ヴァンガード」、同じく宮城 栗原の「カフェ・コロボックル」、宮城 名取の「コーヒー&セッション パブロ」の4店が多くの写真と共に紹介されています。日本で唯一の仮設店舗のジャズ喫茶店「ジャズタイムジョニー」を含め、どのお店も本当に魅力的です。どのお店も震災を経験し、それを乗り越え、逞しく営んでいらっしゃいます。

実は、この小冊子(値段は1000円)の最終頁、「巻末記」がとても役に立つ情報で溢れていて、必見の読み物となっています。東北のジャズ喫茶を巡る旅にでる人への最良のガイドブックではないでしょうか?これを読むと、2週間くらいの日程で、のんびりと東北のジャズ喫茶部巡りをしてみたくなります。興味のある方は是非、読んでみては如何でしょう?

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「GATEWAY TO JAZZ KISSA VOL.1」(JAZZ CITY)

今回は仙台で購入したジャズ喫茶店案内の雑誌2誌、「ジャズと喫茶とオーディオ」(音楽の友社)と東北のジャズ喫茶店の案内本である「GATEWAY TO JAZZ KISSA VOL.1」を紹介させて頂きました。「巻末記」によると、日本には、ジャズ喫茶やジャズバーが「絶滅危惧種」と言われながらも約600軒もあるそうです。その一軒一軒が日本の各地でそれぞれ独自の個性を持って、ひっそりと輝いています。これからも機会を見つけてジャズ喫茶店巡りをしようと、決意を新たにした次第です。


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二泊三日で郡山と仙台に出張しました(3) [旅をしている]

郡山・仙台出張も三日目となりました。この日は、夕方の新幹線で東京に帰るだけという、私にとっては気楽な一日となります。朝、のんびりとホテルのチェックアウトを済ませた後、私は昨日、中古レコード店「Disknote」の女主人に教えて貰った期間限定で開催されているレコード・CD市を覗いてみようと、仙台駅前の商業施設「イービーンズ」の9Fに向かいました。

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イービーンズに貼られていたレコード・CD市のポスター

ビルの開店直後に入ったせいか、客はまばらでしたが、大量の中古レコード(中古CDも)が出店している中古レコード店毎にジャンル別に並んでいます。さっそくクラシックとジャズを中心に私も掘り出し物を探し始めました。すると、ブラジルのポピュラーミュージック(MPB)を代表するシンガーであるイヴァン・リンス(Ivan Guimarães Lins 1945年~ )のブラジル盤(LP)を見つけました。値段は2,800円と、かなり強気の設定でしたが、彼のレコードは入手困難なことを考えると(購入するかどうか)悩ましいところです。今回の出張の思い出にと自分を納得させ(苦笑)、購入することとし、それ以外にもクラシック音楽の中古レコードを四枚(こちらは380円~680円/一枚程度)、結局五枚の中古レコードを購入しました。

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こちらはレコード・CD市の様子。私と同じような世代の方が多かったです。

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こちらが、この日ゲットした中古レコード。

その後、仙台駅へと向かいます。駅のコインロッカーに荷物を預け、Gパンのポケットにお財布とスマートフォンを入れ、片手にiPadという身軽な格好で新幹線に乗り込み、岩手県の一ノ関駅で下車しました。そうです。今回の私の目的は、一関市にある1970年から続く「日本一のジャズ喫茶」「日本一音の良い喫茶店」と言われる「ベイシー(BASIE)」を訪れることなのです。前の記事で、前日に仙台のジャズ喫茶店を訪れたことを書きましたが、その合間に近くの本屋さんで「ジャズと喫茶とオーディオ」(音楽の友社)と東北のジャズ喫茶店の案内本である「GATEWAY TO JAZZ KISSA VOL.1」の二冊の雑誌を購入して、パラパラとめくっているうちに「そうだっ、この機会を使って、前から一度は行きたいと思っていた「ベイシー」に行こう!」と決心したという訳です。

開店は1時からとのことですので、まだ時間はあります。ネットで調べてみると駅前に美味しいラーメン屋があるようです。さっそく、そのラーメン屋「丸長」でつけ麺を食べ(魚介系のスープが美味しかったです)、のんびり散策しながら「ベイシー」に向かいました。

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こちらが昼食につけ麺を頂いた「丸長」。今度はラーメンを食べてみたいですね。

1時になったので、さっそく中に入ろうとしたのですがお店のマスターと思しき方から「まだなので待って」と言われ、外で待ち、なんとか1時半過ぎに中に入ることが出来ました。緊張します。ジャズ喫茶店でこんなに緊張したのは35年程前、大学生のときに故 吉田衛氏がマスターだった頃の横浜のジャズ喫茶店の名店「ちぐさ」に初めて入った時以来です。コーヒーとお茶受けのお菓子を食べながら、大きなJBLのスピーカーから流れる音に耳を傾けました。

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一関市のジャズ喫茶店「ベイシー(BASIE)」(一関市地主町7-17)の外観

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お店の入り口に掲げられたプレート。歴史を感じさせます。

トミーフラナガンのピアノトリオがかかっていましたが、噂にきくほど大きな音ではありません。こんなものかなぁなどと思っていたら次のレコードからは一気に爆音となりました。開店直後ということで最初はどうもアンプ、スピーカーの慣らしだったようです。いやぁ、本当に素晴らしい音です。圧倒されます。これが一度は行ってみたいと思っていた「日本一音の良い喫茶店」の音なのかと、感慨を深くしました。

ふと、左側の大きな木製の(目算ですが、多分レコード3000~4000枚程が収められている)レコード棚を見ると、右上に「hisamitsu noguchi」の彫り込みがされています。著名な映画、ジャズ、ミュージカル評論家。画家、グラフィックデザイナーでもあった故 野口久光氏のレコードコレクションが飾られているようです。この「ベイシー」ですが、前日訪れた仙台の「カウント(Jazz Spot Count)」とは、まったく経営は別ながら、たしか兄弟店と聞いています。二店あわせてカウント・ベイシーという訳です。暫く座っていると、今度は、なんとジョン・コルトレーンが1962年に発表した名盤の誉れ高い「バラード」がかかりました。実は私、このレコードをこれまで、コルトレーンの遺した数あるレコードの中では、どちらかというと不得手としていたのですが、こうして聴いてみると、本当に素晴らしい演奏です。思わず、目を閉じてじっくりとコルトレーンの奏でる音楽に耳を傾けました。

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ジョン・コルトレーン「バラード」

その後も「ベイシー」では色々なレコードがかかりました。その後、マレーネ・ディートリッヒ(Marlene Dietrich 1901~1992年)のライブ音源(10inch盤)がかかり、私を驚かせました。最後に聴いた1969年にフィニアス・ニューボーンJr. がレイ・ブラウン、エルヴィン・ジョーンズとのピアノトリオ「ハーレム・ブルース」は、いかにもジャズ喫茶で聴くには最高のレコードで、私を喜ばせました。しかし、本当に素晴らしい音です。ただただJBLを大音量で鳴らしたというレベルの音ではまったくないですね。なんというか、緻密に練り上げられた最高の音でジャスを聴かせてくれます。店内の雰囲気といい、素晴らしいジャズ喫茶店です。

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フィニアス・ニューボーンJr.「ハーレム・ブルース」

もう、東京に帰らなければならない時間が迫ってきました。コーヒー代1000円を払って店を後にしました。私が店内に居たのはわずか1時間半程度でしたが、「ベイシー」は私に強烈な印象を残しました。もう、一週間が経とうとしていますが、今でも頻繁にあの時のことを思い出します。もう一度行きたい、できれば一週間位、一関市に滞在して毎日「ベイシー」で時を過ごしてみたい等と夢想したりします。


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「ベイシー」の入り口にある置き看板。誰のデザインかは分かりンせんが、味のある繊細なデザインです。「ジャズと喫茶とオーディオ」によると「スピーカーは自作のエンクロージェアにJBLのウーファー2220Bをダブルでマウント。中高域は375ドライバに075トゥイーターを使用。なおプレーヤーはリンLP12+SME3009Ⅱ、カートリッジはシェアV15 TYPEⅢ。プリアンプがJBLのSG520、マルチで駆動するパワーアンプは同SE400S」(雑誌の本文からの引用)というシステム構成だそうです。ただ揃えたというレベルではまったくなく、きちんと精緻にチューンアップされているところが何と言っても素晴らしいです。

私がジャズ音楽に接し始めてから、もう40年近くの年月が経とうとしていますが、その中でも一二を争う、大切にしたいと思える素敵な経験でした。


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