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レコード再生について [音楽を聴いている]

先日、宴席を終え、夜遅くに帰宅し、リビングのテーブルに置かれた夕刊(朝日新聞)に目を遣ると、一面トップに大きく「レコード再生」と書かれた記事が掲載されていることに気付きました。思わず、テーブルに座り、読んでみると、アナログレコードの人気が再燃しているとのことで、昨年(2014年)のレコード生産額は前年の1.7倍、プレーヤーも売れているとの内容でした。

私たちのような、50代以上の世代にとって、FMラジオ放送やレコードといった音楽ソースは、若いころはとても身近なものでした。私は、今でもよく、昔、買ったレコードや、既に廃盤になって、CD化されていない貴重な音源を中古レコードで購入し、聴いたりもしています。何回か、これまでも書いていますが、中古レコード屋で驚くような安値で売りされている、昔は欲しくても買えなかった当時、高価だったレコードを入手して聴く喜びといったものが、私の場合の、現在のレコード購入のベースの動機となっていますが、今の若い方たちは、レコード鑑賞にもっと別の価値を見出しているようです。

それは一言で言えば「アナログ感」という言葉に凝縮されるのでしょうが、若い方たちは、実際のレコードの「音」についても、もしかしたら新鮮に感じているのではないかと思うのです。所謂、アナログレコード再生における中低音の張り出しのことです。レコードでもデジタル録音されたものはそんなことはありませんが、特に60年代、70年代に、アナログ録音されたレコードは、基本的に中低音がブースト(増幅)されているものが多いように感じます。これにより、音は厚みをまし、(再生装置の如何や聴く年代に関わらず)聴き易いものとなります。

これは見方を変えれば、レコード再生においては高音の多くがカットされているということになります。FM放送も同じですね。こちらは可聴周波数が15KHzまでとなっています。私のような中高年は、高音を聴く能力については若い方より劣っている場合が殆どです。なんとも切ない話ですが、お年をとられた方と若い方とでは実際、聴こえている「音」は違います(正確に言えば高齢者の方が可聴周波数帯域が狭くなっていることが多いです)。

一方、今はハイレゾ再生が流行りです。一般的にハイレゾ音源は、「サンプリング周波数および量子化ビット数のうちどちらかがCD-DAスペック(44.1kHz/16bit)を超えている(以上、Wikipedia「ハイレゾリューションオーディオ」の項からの引用、都合上、文章の末尾を変えています)」ものということで、CD以上に高音質なものを指すのですが、結果的には高域周波数の再生可能域が高まることになるようです。まあ、私のような中高年にとっては、それこそ猫に小判となっていまう(泣)のですが、高域周波数の聴取能力に優れた若い方々にとって、その違いは大きいと思います。レコードとハイレゾで聴く音楽は明らかに異なる「音」なのです。

レコード再生というと、「温かみ」や「一手間かける新鮮さ」といった、曖昧な話になりがちですが、こうした「音」のことについて、もっと言及されるべきかもと思った次第です。以上、高域周波数が多分、まったく聴こえていない、寂しい一中高年の雑感でした。ちゃんちゃん。

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こちらは3月16日付朝日新聞(夕刊)の件の記事。そういえば同じ日(16日)のNHKのテレビ番組「サラメシ」でも横浜市鶴見区にある、日本(アジア)で唯一、レコードカッティングからアナログレコードの製作までを行っている東洋化成、末広工場のエンジニアの方々が取り上げられていました。新聞記事の中で、写真付きで紹介されている吉祥寺にあるミュージックカフェ「クアトロラボ」ですが、よく見ると、ローラ・ニーロ(Laura Nyro)の「Gonna take a miracle」がかかっています。いやあ、渋すぎるでしょう。今度、機会を見つけて是非、一度行ってみようと思いました。