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フランスの女流ピアニストであるフランス・クリダによる「サティピアノ作品集」を聴きました [音楽を聴いている]

先週の日曜日にまた、(初売りセールを行っていた)横浜、関内の中古CD・レコードショップ「Disk Union」に行き、(安価で)CDを購入しました。今回はその中の一つ、フランスの女流ピアニスト、フランス・クリダ(France Clidat 1932~2012年)による「サティ ピアノ作品集」(CD三枚組、直輸入日本発売盤)を紹介したいと思います。

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こちらが今回、私が入手したフランス・クリダ「サティ ピアノ作品集」(CD三枚組、直輸入日本発売盤)

このCDは未開封の新品でCD三枚組ながら、値段は1,100円程度という安さに惹かれて思わず買ってしまったものです。クリダは、リストのピアノ全作品の録音をしたピアニストだとは知っていたものの、(恥ずかしながら)演奏を聴くのは初めてでした。

一聴して、私は本当に驚きました。これこそサティ(Érik Satie 1866~1925年)のピアノ演奏の決定盤ではないでしょうか。演奏者の存在をまったく感じさせない、いきみのない自然な演奏、これこそサティの音楽の本質を掴んでいます(ちなみにこの録音は1984年に「the Grand Prix of the Académie du Disque Français」を受賞しています)。

これまで私は、サティのピアノ作品というと、ジャン=ジョエル・バルビエやパスカル・ロジェ、アルド・チッコリーニ、高橋悠治や高橋アキといったピアニストの演奏を聴いてきたのですが、どれも異端の作曲家と言われるサティの作品に対する演奏者の意図が、はっきり感じられる演奏ばかりでした。悪く言えば標題に囚われすぎた演奏であり、音楽史におけるサティの位置づけ、影響を慮りすぎているように思われてなりませんでした。

クリダの演奏は、上に挙げたピアニスト達の曲に対するアプローチとは、まったく正反対のもののように感じられます。素直で、かつ、けれんみのないものながら、聴けば聴くほど、これほど音楽性に溢れた演奏はないのではと思わさせられます。これこそサティが求めていたものではないでしょうか。サティ自身にとって標題(曲名)は余り意味のあるものではなく、あくまで遊びのようなものでしかなかったのではないかと、これまで私はぼんやりと思っていました。その考えをまさしく裏付けるような演奏だと思います。

これほど素晴らしい演奏が、現在、国内で入手が非常に困難であるのは何とも残念です(2020年1月16日現在、Amazonではこの中古盤が34,593円~という、とんでもない値段で売られています)。しかしながら米Amazonですと再発盤を安く(US$20程)入手することができますし、Youtubeには全曲がアップされているので気軽に聴くことができます。是非一度、聴いてみてください。どなたもサティの音楽をどういうものなのかが分かり、そして好きになるかと思います。


こちらがYoutubeにアップされている「Satie - Complete Piano Works / Gymnopedies.. (recording of the Century : France Clidat)」


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