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新大阪に向かう新幹線の車内で千葉雅也著「現代思想入門」を読み終えました [本を読んでいる]

2月2日の金曜日、仕事で新大阪に向かう新幹線の車内で千葉雅也著「現代思想入門」(講談社現代新書)を読み終えました。この本は1960年代から90年代を中心に、主にフランスで展開された「ポスト構造主義」哲学の入門書です。三巨頭であるジャック・デリダ((Jacques Derrida 1930〜2004年)、ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze 1925年〜1995年)、ミシェル・フーコー(Michel Foucault 1926〜1984年)の思想を中心に、それらの思想の源流となったニーチェ、フロイト、マルクス、そして現代思想と切ってきれない関係にある精神分析学者のラカン、ドクマ人類学という新たな領域を切り開いたルジャンドル、そして三巨頭の後、「ポスト・ポスト構造主義」の哲学者であるハーマン、ラリュエルといった思想家たちの思索を、非常に分かりやすく解説しています。

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千葉雅也著「現代思想入門」(講談社現代新書)

私は大学時代、浅田彰(あさだ あきら 1957年〜)の「逃走論」(1984年)や中沢新一(なかざわ しんいち 1950年〜)の「チベットのモーツァルト」(1984年)に夢中になった世代ということもあって、一種の懐かしさを感じながら、この本を読みました。

今の若い人たちにとって、こうした「ポスト構造主義」が、どのように捉えられているのかは分かりませんが、こうした現代哲学の試みというのはとても大切にすべきものではないかと思います。その意味において、この新書の持つ意義は大きいと感じました。

特にこれまで私があまり知らなかったラカンの精神分析における思想が、分かりやすく解説されていたのは嬉しかったです。そして私が非常に感じ入ったのは、本書の129P「物語的意味の下でうごめくリズミカルな構造」という部分です。これは私の雑感ですが、現代カルチャーにおいて「物語性」というのは、特別な意味を持っているように感じられます。ありとあらゆる「物語」が満ち溢れる、この現代において、その文脈の下でうごめいているリズミカルなものの動きを感じ取るセンスと根性こそが、今、私達に求められているのではないかと思いました。

また、この本では、これらの思想を解説する多くの入門書が紹介されています。これから折を見て、こうした入門書を読んでみようと決意した次第です。

「本書で紹介されている主な現代思想の入門書」
 私が勝手に抜き出したものですので、もしかしたらもれなどあるかも知れません。
 その点、ご容赦ください。
 飯田隆「規則と意味のパラドックス」(ちくま学芸文庫)
 東浩紀「存在論的、郵便的-ジャック·デリダについて」(新潮社)
 高橋哲哉「デリダ-脱構築と正義」(講談社学術文庫)
 芳川泰久・堀千晶「ドゥルーズ キーワード99」(せりか書房)
 檜垣立哉「ドゥルーズ 解けない問いを生きる」(ちくま学芸文庫)
 国分功一郎「ドゥルーズの哲学原理」(岩波現代全書)
 宇野邦一「ドゥルーズ 流動の哲学」(講談社学術文庫)
 慎改康之「ミシェル・フーコー-自己から抜け出すための哲学」(岩波新書)
 原和之「ラカン-哲学空間のエクソダス」(講談社選書メチエ)
 向井雅明「ラカン入門」(ちくま学芸文庫)
 片岡一竹「疾風怒涛精神分析入門-ジャック・ラカン的生き方のススメ」(誠信書房)
 松本卓也「人はみな妄想する-ジャック・ラカンと鑑別診断の思想」(青土社)


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